Eクラスは2013年に大幅なマイナーチェンジを行ったため、これ以前の型は最新モデルでも査定・買取の価格がやや落ちています。
また、近年の日本人の「セダン離れ」もEクラス(E-CLASS)の査定では買取価格を下げるマイナス要素となります。
ここでは、そんなEクラスの査定や買取に関わる情報・動向を解説しながら、現在の中古車市場での相場も合わせて紹介します。
Eクラス(E-CLASS)の中古車市場での価格目安
Eクラスの現在の中古車価格の目安は下の通りです。
・1993年モデル…29~599万円
・1995年モデル…9~169万円
・2002年モデル…45~371万円
・2009年モデル…199~970万円
2013年5月のマイナーチェンジが、査定・買取に与えた影響
ベンツのEクラスは、2013年の5月に大規模なマイナーチェンジを行いました。改善した箇所が2000以上という異例のマイナーチェンジで「もはやモデルチェンジに等しい」と多くのユーザーに評価されています。
このマイナーチェンジによって、同じ最新モデルでも2013年以前のものは査定での買取価格も安くなっています。
さらに、2013年に2009年モデルの多くが「最初の車検」を迎えたことで、中古車市場にも多くのEクラスが流れてきており、これによっても査定の価格は下がっています。
これだけ大規模なマイナーチェンジをすると、しばらくの間はマイナーチェンジもモデルチェンジも共にないと考えられます。そのため、Eクラスの内部から査定・買取に影響を与えるイベントが起きることは少ないでしょう。
ただ、BMWなどのライバル社の動向によっては、今後査定や買取で不利になるイベントも起こりうるので、楽観視は禁物です。
「セダン離れ」がEクラスの査定に与える影響
いまの日本人の「セダン離れ」は深刻です。「現代ビジネス」の2010年8月22日の記事によれば、この年の5月、1000台以上売れたのはわずか「8車種」です。
目を疑うほど数字が低い車種も多く、それらを一覧にすると下のようになります。
・カムリ…89台
・アコード…95台
・インスパイア…80台
・SX4セダン…22台
レガシイB4 、シビックなどのビッグネームも500台未満とまったく売れておらず、同じセダンであるEクラスの査定でも、やはり影響が出ています。
ただ、ベンツ自体がセダンのイメージが強いですし、そもそもベンツに乗る時点で、ミニバンを選ぶユーザーが重視するような「荷物を運べる」などの機能性は重視していないことが多いです。
そのため、国産車のセダンほどはEクラスの買取価格が下がることはなく、査定でも「比較的マシ」な状態ではあります。
Eクラスのリセールバリュー(買取価格)について
Eクラスのリセールバリュー(買取価格)は、高級車の中ではかなり高い部類です。
たとえばドイツの独立系市場調査機関の代表である「Bähr & Fess Forecast社」の調査では、2010年の時点でEクラスのリセールバリューは、高級車の中では最も高いという結果が出ました。
(2010年1月18日、ダイムラー・ベンツ社の公式サイトより)
ドイツでの買取価格ということで、日本の査定とは少し違うかも知れません。しかし、基本的にベンツはドイツのユーザを意識して作られており、その基準を日本をはじめとした各国のユーザーも受け入れているわけです。
そのため、ドイツでの買取価格が高いということは、日本の査定でも近い結果になる、と考えていいでしょう。
実際、「最も高い」とまでは行かなくても、Eクラスの査定価格は日本市場の高級車ではレクサスLSなどに次ぐレベルとなっており、査定価格はかなり高い部類だといえます。
フォーブス誌で「リセールバリューが最低の車」に選出?
「Eクラス リセールバリュー」と検索すると、上位にいくつか、こんな記事が出てきます。
・2008年のフォーブス誌で、Eクラスが「リセールバリューが世界で最低の車」として選出された。
・5年後の残価がたった26%。
・高級車の中古が歓迎されるアメリカ市場でこの数字は、「市場から拒否されている」も同然。
上記のような内容で、数字も具体的ですしアメリカ市場などの話も事実です。
もしこれが事実ならEクラスのオーナーにとっては懸念事項ですが、いまのところ、日本語のウェブでそのフォーブス誌の記事を確認することはできません。
また、これらの記事にもフォーブス誌のいつの記事なのか、はっきり書かれていません。
とすれば、これが「リアルなデマ」の可能性もあるので、こうした数字はあまり参考にしない方がいいでしょう。
最近のネットは「まとめサイト」の氾濫で、一箇所に嘘が掲載されると、それが瞬時に無数のサイトで共有され「まるで事実のように」なってしまうため、注意が必要です。
Eクラスのフルモデルチェンジはいつ起きるか?
前回のモデルチェンジが2009年で、2013年に「モデルチェンジ並」のマイナーチェンジをしているので、当分の間はないでしょう。
2代目~4代目(現行モデル)の間はいずれも7年間隔で来ているので、これに従えば「2016年」ということになります。
これなら今回のマイナーチェンジから3年後ということで、あり得ない話ではありません。しかし、改良箇所が2000以上という内容だっただけに、おそらく2016年のモデルチェンジもないでしょう。
・高級セダンのモデルチェンジは延期傾向に
価格帯は違いますが、日本でのEクラスのライバル車種の一つに、トヨタのマークXがあります。
国産車、トヨタというだけで高級車とは認めない、という方もいることはいますが、少なくとも公ではマークXはEクラスのライバル車種の一つとなっています。
そのマークXですが、当初2014年予定だったモデルチェンジを2015年に延期、さらにそれも白紙に撤回、という状態になっています。
理由の一つに先に紹介した「セダン離れ」がありますが、モデルチェンジをしてもその先行投資を回収できる見込みが、いまのセダンでは立たないのです。
これはEクラスでも例外ではありません。今回こそ大規模なマイナーチェンジをしましたが、この最新モデルの今後の売れ行きによっては、モデルチェンジが先に伸びるということもあるでしょう。
モデルチェンジをされると、現行モデルを持っているユーザーとしては売却で不利になるので、それが伸びることは、むしろありがたいことなのですが。
日本のデフレが高級車の査定に与える影響
ご存知の通り日本のデフレは深刻で、これが査定に与える影響も当然大きいです。アベノミクスで多少持ち直したものの、長期的に見れば「デフレは続く」「給料は上がらない」と思っている方が多いのはたしかでしょう。
もともと、日本のユーザーが中古車を購入する時に想定する価格は、「高くても300~500万円」というレベルです。そして、不況の今ではこの基準もさらに下がりつつあります。
Eクラスの場合、新車の半額でも600万円を超えることが多く、基準が下がる前から不利でした。
それでも健闘していたのは「さすがメルセデス」というべきですが、さすがにこれ以上ユーザーの基準が下がると、今後はますます売れにくくなることが想像できます。
まとめ
こうしていろいろな要素を見ると、ドイツはともかく、日本の市場ではEクラスの売却は今後どうなるかわからない(やや不利)というのが率直な感想です。
ただ、今後はどうなるかわからなくても、現時点でのリセールバリューは外国車の中ではかなり高いことがわかっているわけですから、「高いとわかっているうちに売る」という判断も賢明でしょう。
「先のことがわからない」→「わかっている範囲で一番いい結果をとりあえず確保する」という発想が、車の売却では重要かと思います。
「ベストではなく、ベターを狙う」ということですが、そうすれば「大成功」はなくても、「成功」は連続して積み重ねることができるでしょう。
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