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アクセラスポーツの買取 ~13年の大ヒットで今後の査定は不利に~
2013年に大ヒットを記録したアクセラスポーツの新型ですが、この影響で旧型の査定や買取は不利な状況となっています。
また、新型についても売れすぎたため、これが中古車市場に流れる3年後は、新型であって査定価格が不利になることが予想できます。
アクセラスポーツに限らず大ヒットした車種が抱えるそうした「査定のジレンマ」や、現在の中古価格の相場など、査定の参考となる情報を提供します。
アクセラスポーツの中古車の販売価格
アクセラスポーツの中古車市場での、販売価格の相場は下の通りです。
・2003年モデル…20~175万円
・2009年モデル…70~265万円
・2013年モデル…170~299万円
(2014年5月18日のカーセンサーnetより)
2013年モデルの新車価格は172~307万円なので、1年経ってもほぼ100%の値段を維持しています。(販売価格なので、買取はもう少し安くなります)
2009年モデルは新車が166~268万円なので、車両によってはリセールバリューが40%台と、やや振るわない買取価格です。(新型が大ヒットした影響でしょう)
過去は散々だった、アクセラスポーツの査定での評価
ここ数年のアクセラスポーツは比較的高く査定されていますが、2006年頃は散々でした。当時のガリバーでのアクセラスポーツの買取価格は、新車で購入して3年目で「45~54%」。
これはガリバーの格付けでは「Cランク」の買取価格で、「低額査定」とまではいかないものの、かなり厳しい査定価格だったことは間違いありません。
この理由について、鈴木詳一氏(ガリバー自動車研究所所長)は「アクセラ自体が不人気なため」とコメントされていますが、この記事が書かれた2006年6月29日頃のアクセラシリーズは、むしろ人気でした。
2ヶ月後の8月末には累計100万台を売上、マツダの車種の中で過去最速を記録。2年後の200万台でも、やはり記録を作っています。
しかし、鈴木所長のコメントが間違っているはずはないので、おそらくアクセラシリーズの場合、新車市場の人気と、中古車市場の人気にかなりのギャップがあったということでしょう。
「新車は人気」なのに、買取価格が低くなる理由
「新車は人気」なのに、査定での買取価格は低くなる。これは特にBMWでよく見られる現象です。
特にBMW7シリーズの買取価格は低く、同じガリバーの公式サイトでは、「3年後に33~35%」となっています。(新車時の価格に対して)
先に紹介したアクセラスポーツの場合「45~54%」ですから、BMW7シリーズは、アクセラスポーツと比較して「12~19%」も買取価格が低いのです。
「BMWなら全部高く買取される」と思っている方は驚くかも知れません。ガリバーから「Cランク」に指定される不人気車種に、BMWが惨敗するわけです。
「新車での人気と、査定での人気はまったく違う」ということが、この両者の比較でもよくわかるでしょう。
2013年のモデルチェンジで高まったアクセラスポーツの評価
2013年のモデルチェンジの評価は非常に高く評価されています。
当初の月間販売目標は「3000台」でしたが、その5倍以上の「1万6000台」を達成し、2014年3月期にマツダが過去最高益を出すのに大きく貢献しました。
しかし、この大ヒットは中古車の査定に与える影響を見ると、むしろマイナスになります。旧モデルにとっても、新モデルにとってもマイナスです。それぞれ分けて理由を説明します。
・旧モデルの場合
新モデルが売れているということは、「旧モデルからの乗り換え」もそれだけ多いということです。
全員が乗り換えユーザーではないでしょうが、「新車が売れていない」時よりは、乗り換えユーザーが多いことは言うまでもないでしょう。
そうした「乗り換え」が起きると、旧モデルが大量に市場に流れてきます。それで旧モデルの買取価格が落ちるということです。
・新モデルの場合
新モデルの場合は、最初のうちはむしろ有利です。
というのは、今回のアクセラスポーツのように「最大で半年」も納車を待たされていると、「新車より高くていいから中古車で買う」という購入者も出てくるからです。
なので、こうした大ヒット車種の発売直後は、中古車の価格の方が新車よりも高いんですね。この状態は半年程度で終わりますが、中古車が高く買取してもらえる状態は、その後2年ほど続きます。
しかし、3年目を目前に、査定価格が急激に落ちます。「最初の車検」の前に、アクセラスポーツを売りに出すオーナーが増えるからです。
普通の車だったらこの数もたかが知れているのですが、大ヒットした車種の場合は、この数も多いのです。
そのため、2013年のモデルチェンジ後にアクセラスポーツを買った方は、査定のことだけを考えたら、できるだけ2年程度で売却した方がいいということです。
(もちろん、気に入っているのに無理に売りに出す必要もありませんが。あくまで「高く査定してもらいたいなら」ということです)
アクセラスポーツ・ハイブリッドは、意外にも不人気
今回、アクセラスポーツはマツダ車で初のハイブリッドモデルもリリースしました。しかし、このハイブリッドの人気が伸び悩んでいます。
自動車情報サイト『自動車リサーチ』でも、2014年4月6日の記事で、「プリウスを上回る出来ながらも、人気薄」とコメントしています。
このハイブリッドモデルはトヨタから技術供与を受けており、それにプラスして、マツダ独自のガソリンエンジンユニットなどを加え、「プリウスと同等か、上回るクオリティ」にしています。
評論家の国沢光宏氏も自身のコラムでプリウスとアクセラスポーツHVを比較し、「乗り心地に圧倒的な差、アクセラが断然優位」とコメントしています。(2014年4月16日の記事)
また、同じく評論家の塚田勝弘氏も両者を比較し「プリウスのようにバタバタせず、落ち着いていて好感が持てる」とアクセラスポーツHVに軍配を挙げています。
塚田氏によるこの記事のタイトルは「新型アクセラの完成度は世界基準」というもので、ハイブリッドだけでなく、その他の部分まで絶賛する内容です。(2013年11月26日の記事)
しかし、これだけ専門家から絶賛されているにも関わらず、ハイブリッドモデルはなぜか売れていません。ただ一部では「ハイブリッドはポーズだけで、もともと売る気はなかった」という声も聞かれます。
たしかにハイブリッドが売れているのは日本だけで、世界で主流となっている省燃費技術は「ダウンサイジング(低排気量化)」です。
マツダの本当の思惑はわかりませんが、これまでハイブリッドに取り組んでいなかったこと、今回もトヨタの技術を借りているだけ、ということを考えると、たしかにさほど積極的ではなかったのかもしれません。
まとめ
2014年3月期の「過去最高益」を見てもわかるように、マツダは絶好調です。
アクセラスポーツ、アテンザ、CX-5 と、出す車が次々と大ヒットを続けており、アメリカでは生産がまったく追いつかないというほどです。(米自動車情報サイト「TheDetroitBureau.com」より)
これもこの数年マツダが取り組んでいたデザインコンセプト「魂動(こどう)」が、文字通りユーザーの魂を動かしたからでしょう。
マツダがスポンサーとなっている広島カープの人気も急上昇しており、現在のマツダ周辺には「強力な磁場」すら存在するように感じられます。
今回のアクセラスポーツのように、新車が大ヒットすることは、基本的には中古車を査定に出す側としてはマイナスになります。
しかし、マツダ全体のイメージが上がることは、総合的に見ればマツダ車を買い取ってもらう上で、当然プラスとなります。
一番いい方法は「新車がヒットする度にそれを買い、1年程度で売る」ということかも知れません。これなら、常に85%程度の価格で売りながら次に乗り換えられるので、一番賢い方法かも知れません。
(ただし、どんな車種がヒットしても、毎回それを選ばなくてはいけない、ということですが…)
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