スカイラインの買取査定 ~インフィニティの看板導入の影響

2014年に登場した新型スカイラインは、日産の月販目標・200台大きく上回る5000台のオーダーを受けるに至り、その影響により今後の買取査定の動向にも大きく影響が出てくる可能性があります。

当初の販売目標は月間わずか200台とかなり少なめの設定であったために、このモデルチェンジが買取査定に影響することは、まずないだろうと当初は予想されていました。

しかし、それが想定外のヒットとなる販売台数を記録したことにより、旧型スカイラインの買取価格が低下しはじめるなど、査定にも動きが起きています。

ここではそうしたスカイラインの買取査定の動向と、中古車市場での価格の相場などを紹介していきます。

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中古車の相場はどうなっているか

スカイラインの中古車市場での価格の目安は下の通りです。

・1989年モデル…29~225万円
・1993年モデル…18~158万円
・1998年モデル…10~256万円
・2001年モデル…5~596万円
・2006年モデル…29~300万円
・2013年モデル…約270万円

(2014年5月20日時点のカーセンサーnetより)

どの年代のモデルでも、かなりの値段の開きがありますが、特にスカイラインは10年以上前の車でも高額で売られているのが特徴的です。

スカイラインは歴史も古く、マニアックなファンも多いので、年代が古くても、希少価値のあるクルマであれば高値で売買されていることがうかがえます。

逆に、不人気なモデルですと、セダン不人気の影響を受けて相場が大きく崩れていまう傾向があるようです。

新型の「意外な人気」がこの車の評価にもたらす影響

2014年2月登場の新型スカイラインは、冒頭にも書いた通り、日産も販売台数にそれほど期待していませんでした。

新車が月間200台売れる程度であれば、中古車の査定や買取に影響が出ることはほとんどなく、市場でも「今回のモデルチェンジで買取査定の評価が変わることはないだろう」と予想されていました。

しかし、そんな予想をあざ笑うかのように、最初の1ヶ月で目標の25倍となる5000台を受注し、高級セダンとしてはかなりのヒットとなりました。

セダンの人気がない現在では、月間1000台を超える車種が10車種に満たない状況です。

それがモデルチェンジの直後とは言え、高級セダンであるスカイラインが平均の5倍にあたる月間1000台を売り上げたわけですから、まさにスカイラインの底力を感じないわけにはいきません。

これだけ新モデルが売れれば、当然旧モデルの買取価格も下落します。

事実、上記で紹介したカーセンサーnetなどのサイトを見ても、今回のモデルチェンジを機にユーザーが乗り換えたと見られ、旧型の新しい在庫が多数登録されていました。

今後もこうした乗り換えによって旧型の買取査定の価格が下がっていくので、旧型のスカイラインを売却に出すのであれば、早めにアクションを起こした方が得策かもしれません。

新型が「インフィニティ」を名乗ることの市場への影響

モデルチェンジ後に圧倒的な販売台数の伸びを見せた新型スカイラインですが、今後の動向については楽観視ができない状態です。

というのは、今回のスカイラインは、エンブレムが「インフィニティ」に変わっているからです。インフィニティは日産の高級車ブランドで、トヨタのレクサスのようなものです。

長年スカイラインのエンブレムとして輝いてきた「日産」のロゴを捨て、インフィニティに切り替えたわけです。これがファンやメディアの間では賛否両論を巻き起こしています。

その理由として、インフィニティを名乗るなら、インフィニティから出ている高級車車種である「Q50」を名乗るべきだと考える人が多いからです。

いずれにしても、こうした「否定派」の方々が積極的に新型スカイラインを買うというのは考えにくいでしょう。

その結果、新車の販売台数が伸び悩んで、中古車市場の値崩れが防止できるのであれば、旧車のオーナーとしては喜ばしい限りでしょう。

しかし、「否定派」の方々はただ単に「新型スカイラインを買わない」だけでなく、「スカイライン自体のファンを辞める」可能性もあるわけですね。

そうなれば、歴史あるスカイラインの人気そのものが下がるので、新車あれ中古車あれ価値が落ちるという可能性があるわけです。

メディアはこのモデルチェンジをどう評価しているか?

メディアはこのスカイラインのモデルチェンジについて、性能面では評価しています。ただ、「インフィニティ」の看板を掲げたことについては疑問の声も多数あがっています。

たとえば『東洋経済オンライン』は下記のように評価しています。

・インフィニティブランドは、国内ではほとんど無名
・国内の高級車ブランドは基本、不利。レクサスですら苦戦しているし、ホンダの「アキュラ」も国内での展開は断念している。
・今回、インフィニティと繋げたことは、スカイラインの衰退に拍車をかける可能性がある。

(2013年11月13日の記事より)

もしこの東洋経済の指摘通り、スカイラインのブランドがさらに衰退すると、当然中古車の買取価格も下がります。

いまのところ、予想を大きく上回る売れ行きということで、「インフィニティ」を冠したことも一応は受け入れられている、と考えていいでしょう。

ただ、今回の日産の「200台」という弱気の目標設定でもわかるように、スカイラインのブランド価値は徐々に衰えています。

インフィニティとの融合も、そのブランド価値を補強するためのものでしたが、スカイラインの全盛期であればこんな「小細工」はあり得なかったでしょう。

こうして徐々にブランド価値が落ちているということは、将来的にはスカイラインの中古車の買取価格も下落していくということです。

ブランド復活の起爆剤となるようなモデルチェンジができればいいですが、今回のモデルチェンジがそれになる気配はありません。

一度モデルチェンジをした以上、次はのモデルチェンジは5年後以降になると思われます。人気のなくなった車種はコストの都合で、さらにモデルチェンジのスパンが長くなるという悪条件もあります。

そう考えると、やはり名車・スカイラインも徐々に衰退に向かっていると言えるのかも知れません。

熱烈なファンの方でなければ、早めにスカイライン以外の車種、セダン以外のジャンルに乗り換えを検討してもいいでしょう。

スカイラインが売れなくなった原因は?

自動車ファンの方にとって、スカイラインは言うまでもなく、日本車を代表する名車です。そんな名車の販売目標が月間200台の設定にせざるを得ないほど売れなくなっている現状は、往年のファンの方にとっては納得が行かないことでしょう。

ただ、これはスカイラインが売れていないというよりも「セダン全般」が売れていないのです。上記の通り、月間1000台を売れるセダンの車種は10車種未満です。

これは、比較的値段の安い大衆車を含めての台数ですから、それを考えると値段の高い高級セダンであるスカイラインが売れなくなってしまうのは仕方がないのかも知れません。

スカイラインを買うお金があれば、同価格帯のミニバンやSUVを買うという人が増えてきているのでしょう。

また、かつてスカイラインといえば若者に人気のセダンでした。しかし、最近ではその若者がクルマにあまり興味を示さなくなっているという現実があります。

名車スカイラインと言えども、時代の流れには逆らえないということなのでしょうか。

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