2011年の登場から3年が経過したレクサス・CT200hは、「最初の車検」と2014年のマイナーチェンジが重なるため、査定での買取価格にも影響が出ると言えます。
両者の重なりによって、通常より乗り換えが増え、中古車が多く出回るからです。
もちろん、CT200hは高級車なので、簡単に買い替えることは不可能のため、一般車ほど買い替えによる査定への影響はないと言えます。
それでもレクサス、CT200hの価格帯にしては乗り換えも増え、査定への影響も大きくなるでしょう。
今回のマイナーチェンジの評判が良ければ、その評判を聞いて乗り換えるユーザーも増え、さらに影響力は増します。
ここではそんなマイナーチェンジ後のCT200hの評判と、現時点での中古車の相場などを紹介し、CT200hの買取の今後を占います。
レクサスCT200hの中古車価格の相場
レクサスCT200hの中古車の相場は「209万~420万円」で、平均価格は302.1万円。まだ2011年モデルしかないため、モデル別の相場はありません。
これは「販売価格」なので、「買取価格」は当然ながらもう少し安くなります。レクサスCTの買取価格については、はっきりした「○○%」という情報は出ていませんが、同じレクサスのLSなら出ています。
ガリバーによるデータで「3年後に、新車の58~64%で買取してもらえる」という数字です。もちろん、同じレクサスでもLSとCT200hは別の車種なので、この数字をそのまま鵜呑みにすることはできません。
しかし、CT200hの評判や、レクサス全体への評判を考えれば、これに近い数字で買取してもらえると考えていいでしょう。
レクサスの買取価格は、外国車メーカーと比較しても高い
メルセデス・ベンツやBMWなどの外国車メーカーの買取価格(リセールバリュー)は、高い車種でも「55%前後」がほとんど。上のCT200hの数字と同じく「新車購入の3年後、新車の何%で買取してもらえるか?」というデータです。
レクサスの場合は、上のLSのデータのように、大体が「60%前後」と言われています。
「たかが5%の差」と思われるかも知れませんが、このレベルの高級車の買取で5%の違いは大きいです。(1000万円の5%は50万円ですから)
・なぜ、レクサスは査定で評価されるのか?
なぜレクサスは中古の査定でもこのように高く評価されるのかですが、それは「品質の高さ」によるものです。「定番の答え」と思われるかも知れませんが、中古車の査定では極めて重要なことです。
中古車を買うユーザーも、「自分がその後にまた売る」ことを考えています。
20万円程度で買える軽自動車なら、そこまでは考えないでしょうが、レクサス、CT200hのような高級ブランド・車種であれば、当然考えることです。
つまり「中古の中古」で査定に出すわけですが、この時の査定で「品質」が評価されるのは言うまでもないでしょう。
1回目の中古ならまだいいですが、「中古の中古」となると、査定でも品質面に力を入れてチェックする必要があるからです。
さらに言えば、レクサスレベルのブランドは「さらにまた中古に」回すこともできます。
10年落ち、15年落ちなどの中古車が、先進国から途上国に渡るというのが、今の中古車市場の流れの一つ。「最初の品質」がよければ、こうした長い寿命を保てるので、「品質がいい=高く買取」となるのは当然なわけです。
レクサスの品質が、実際世界からどう評価されているか、データを見てみましょう。
世界におけるレクサスの品質への評価
たとえばアメリカを代表する調査会社『JDパワー・アンド・アソシエイツ』による評価を見てみましょう。(わかりやすく、内容を箇条書きします)
・同社が毎年まとめる品質レポート
・発売から3年後の車(のオーナー)だけが対象
・不具合の数が少ない順番にランキングに
・レクサスは2012年~2014年、3年連続で1位
…というものです。「4万1000人以上」という大規模なアンケートなので、この結果は信頼できます。(少なくともアメリカ人は信頼しています)
この調査の「3年後」というのは、そのメーカーの中古車の買取価格を推定する上で、とても役立ちます。
というのは、車の買取価格の大きさを示す「リセールバリュー」も「新車3年後の価値」で評価しているからです。(3年後、新車の価格の何パーセントになっているか?というものですね)
上の調査では、まさに「新車3年後の価値」のランキングが出ているわけですから、これがそのまま「買取価格のランキング」なのです。実際、買取価格の動きもこのランキングとほぼ同じになっています。
このランキングの2014年版では1位がレクサス、2位がメルセデス・ベンツとなっていますが、ガリバーなどが公表するリセールバリューのランキングでも、やはり1位と2位はこの順番になっています。(車種によって違いますが、総合的に見て)
このようにすでにアメリカの調査会社が「査定」に等しいことをしてくれているわけですから、これほど査定の参考となる調査は少ないでしょう。
CT200hのマイナーチェンジは、査定にどこまで影響するか?
冒頭に書いたように、CT200hは2014年にマイナーチェンジをしています。
この評判がよければ、旧型からマイナーチェンジ後の新型に乗り換える人が増え、旧型の査定価格が落ちる、というのが一般的な流れです。
CT200hの場合はそれほど単純ではありません。というのは、CT200hレベルの高級車だと「マイナーチェンジしたから買い換えるか」と簡単に考えるのは難しいからです。
もちろん、それが簡単にできる「お金持ち」の方もたくさんいますが、それができないユーザーの方が多いので、こうしたユーザーからは「旧型→新型」の乗り換えが起きないのです。
つまり、CT200hのような高級車の場合は、マイナーチェンジの評判がよくても、一般車ほどは査定への影響はないといえます。
レクサス・CT200hと、外国車メーカーの競合車種比較
CT200hの性能は、公表されているスペックで、外国車メーカーの競合車種を圧倒的に上回っています。北米レクサス自身が、CT200hをアピールする動画で公式にそう宣言しており、その自信のほどが伺えます。
この動画でレクサスは「同クラスのBMW、アウディ、ベンツなどと比較しても圧倒的」とCT200hを評価していますが、これほど強気の宣伝もめずらしいでしょう。
もちろん口だけではなく、実際に各社が公式発表しているデータの比較でもそうなるので、「レクサスがいよいよ大物になりつつある」ということです。
いまいち「高級車」としてのブランドが弱いレクサスですが、上で紹介した品質調査の例のように、「性能」ではすでに世界のナンバーワンの位置にいるのです。
そのため、今回北米レクサスがこれだけ強気でCT200hをアピールしているのも「事実を言っているだけ」なんですね。
まとめ
今回のCT200hのマイナーチェンジを見て「レクサスの品質は、どうしてここまで高まったのか?」と思う方も多いでしょう。
これについては、『ENGINE』の評論家の斎藤浩之氏が、下のように評価しています。
「レクサスは登場してすぐ、受け入れられることはなかった。でも、それがよかった。これによって、彼らは地道な改良をせざるを得なかった。」
「本物を好む人は、安物のメディアのように大声で評論をしたり、誰かにスポットライトを当てたりしない。だから、本物を好む人々に理解されようと思ったら、すぐに評価されることも、スポットライトを浴びることも期待せず、ただひたすら黙々と、いいものを送り続けるしかない。」
「今のレクサスの進化は、こうした不断の努力の賜物である。」
(2009年2月号、内容は筆者要約)
この分析は、一見すると自動車の評論にはまったく見えません。人間の成長にそのまま当てはまるような、哲学的な内容です。
結局自動車の開発にしても何にしても、人間が行っている以上、そこに人間の成長のヒントがあるわけで、「レクサスが世界の品質トップに立った理由」にも、そうした学びがあるのでしょう。
実行するのは難しいことですが、同じ日本人の仕事として、彼らの仕事ぶりや人生を見習いたいものです。
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