モレスキンのノートが世界中で大ヒット!~ピカソやゴッホも愛用?
モレスキンというメーカーのノートをご存じですか?
見た目はハードカバーが採用されたただのノートにしか見えません。それこそ、似たようなものなら100均にだって売っているでしょう。
ポケットサイズで2000円近くもするこのモレスキン。世界中で大ヒットしているんです。その魅力と秘密についてお話したいと思います。
単なるメモ帳?正直、すこし使い辛いときもあるんです
▲一見するとただの手帳です。100均でもそっくりなノートを買うことができます。
▲裏側に控えめにモレスキンのロゴ。これがなければただの手帳?
筆者も数年前からモレスキンのポケットサイズノートを愛用しています。カラーは定番の黒。まずは、その使い勝手を簡単にレビューしてみましょう。
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最大の特徴は撥水加工の施されたハードカバーです。付属のゴムひもでとじてしまえば、ガッチリと大切なメモを守ってくれる…そう思っていました。ですが、結局側面はカバーされていません。
大雨の日にポケットやカバンに入れたまま外出してしまうと、インクがにじんでしまい、結局何を書いているんだか、まったくわからなくなってしまいました。外側がビニールになっているタイプの一般的な手帳と防水性能は、ほとんど変わりません。
しかし、このハードカバー、立ったままメモする際には下敷き代わりになってくれますので、とても便利です。紙質も良く、ボールペンでも万年筆でもスムーズにメモをとることができます。
そのかわり、この堅いカバーのせいで片手でページをめくることができない、というデメリットがあります。片手に電話をもって会話しながらメモを確認する、といった際には少しイライラしてしまうことがあります。
結論を言ってしまえば、良いところもありますがそれほど使い勝手が良いとは言えません。それなのに、どうしてこんなに大ヒットしているのでしょう?
モレスキンは伝説のノートだった
筆者がこのノートを手にとったきっかけは、背後にある歴史です。これまでどのような人たちに愛用されてきたのか、という物語に惹かれて手にしました。
19世紀にフランスで誕生したこのノートはさまざまな著名人に愛用されてきました。代表的な人物だけをピックアップしてみても、フィンセント・ヴァン・ゴッホ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイなどそうそうたる顔ぶれです。
多くの芸術家や思想家に愛されたノート…これだけでなんとなく惹かれてしまいませんか?このような物語性を持ったアイテムに弱い筆者はすぐに飛びつきました。
使い勝手よりもロマン…たかがノートと言われたらそれまでです。しかし、モノにロマンを求めてしまうのは男の性かもしれません。
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マスメディアの広告よりも「神話」を利用して大ヒット
現在のモレスキンは残念ながら、当時とはまったくの別モノと言われています。そもそも、このノートはフランスの小さな製本業者によって作られたものでした。1986年に生産が終了し、オリジナルのものは現在入手することができません。
今現在入手が可能なものは、イタリアにあるまったくの別会社「モレスキン社」が1997年から製造・販売しているレプリカ品です。
モレスキンは「ゴッホ、ピカソらが愛用したノートを継承したもの」というキャッチコピーを使用し、単なるノートに歴史という神話をプラスすることによって売ろうとしたのです。
この神話はマスメディアによる大々的な広告よりもはるかに効果的なものであったことは2010年までに1300万冊も売り上げた、という結果を見れば明らかでしょう。
結局は別物なのに、伝説が定着してしまったことで「定番品」へ
冒頭でモレスキンは「ピカソやゴッホが愛用した」と書きましたが、これは前章でお話した通り、正確な表現ではありません。
しかし、伝説や神話と一緒に売られ、ヒットしたことによってこれがモレスキンに定着してしまいました。結果として、モレスキンは著名な芸術家が愛用したノートとして世間に定着しています。
一度、イメージが定着し、ヒットしてしまえばそれは「定番」となります。まだ歴史のあさいモレスキンという会社、そしてこのノートはわずかな期間では得ることのできない「定番」という地位を掴むことに成功しました。
新たな挑戦によって本当に便利なものへ
発売当初は前述のように、お世辞にも「便利なノート」ではありませんでした。しかし、それが近年変化しつつあります。
とくに若い世代の利用者に支持されているのがスマートフォンとの連携機能です。専用のアプリを使用すれば、手書きのメモをデータ化して保管したり、そのまま送信することができる、という機能が追加されました。
最近ではそれほど珍しい機能でもありませんが、今や「定番」となったモレスキンに採用されることによって消費者により大きなインパクトを与えることに成功しました。
また、人気映画やキャラクターとのコラボレーションした限定品や、幅広いカラーリングのカバーを採用したものなども登場し、単に「使える」だけでなく「楽しさ」まで追加されています。
短期間に巧みな戦略でノートの「定番」にまで登り詰めたモレスキン。これ自体が今度は伝説になってしまうのではないでしょうか?
ゴッホやピカソが使用していたものとは別物である、と知った今でも筆者がモレスキンを愛用し続けている理由はこの新しい伝説に魅せられているからなのかもしれません。
Byチリペッパー眞木
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