タロットカードはどこからやって来たのか~その歴史と起源をひも解く
タロットカードの起源には諸説があり、はっきりしたことはわかっていません。
ここでは一番有力な説と、その他の説をまとめて紹介します。
最古の記録は、1400年代前半のイタリア
15世紀(1400年代)前半のイタリアで、エステ家で用いられていたという記録があります。
正確には、おそらく「1442年~1447年の間」とされています。
(年が確実にわかるものは、カードに日付が書かれている「1484年」のものです)
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ただ、何に使われていたのかはわかりません。
ゲーム用か占い用か、あるいはただの絵の観賞用か、その用途は不明です。
占いとして使われた記録が残っているのは18世紀なので、それからさらに300年程度後になります。
エジプト起源説
エジプト起源説が起きたのは、18世紀(1700年代)のフランスの作家・ジェブランが提唱したためです。
彼はタロットカードと出会った時からこれをすぐに「古代エジプトの象徴画本」と断定。
この説が広く流布して、現代まで生き残っています。
この説が支持されたのには理由があり、当時の西洋には空前の「エジプトブーム」が起きていたのです。
有名なロゼットストーンの発見もまだなく、ヒエログリフ(象形文字)も解読されていなかったこの時代、西洋人にとってエジプトというのは謎に満ちている神秘的な場所だったのです。
そこに影響力のある作家のジェブランが自信満々に「エジプト起源」と断言したことが加わり、この説が定着「してしまった」のです。
(結構安直な理由だったんですね)
それから約300年経った今でも、エジプト起源説の証拠となるような資料はなく、今ではこの説を有力視する人は少なくなっています。
ユダヤ起源説
これは19世紀(1800年代)に神秘思想家のエリファス・レヴィによって提唱されたものです。
彼は「近代西欧魔術の父」とも呼ばれる人物で、ボードレール、ランボーなど、文学史に残る作家たちにも大きな影響を与えています。
(写真はレヴィの肖像画)
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レヴィがユダヤ起源を唱えたのは、タロットカードの種類が「22枚」で、ヘブライ文字のアルファベットも「22文字」だったからです。
タロットカードの「種類」というのは、「大アルカナ」のことです。タロットカードの種類は、
・大アルカナ…寓意画(ストーリーを表現したような絵)、22枚
・小アルカナ…人物画、56枚
となっています。
この大アルカナの22枚と、ヘブライ文字の22文字に共通点を見出したわけです。
このユダヤ起源説もこれ以外の根拠は何もないのですが、当時のフランスで大きな影響力を持っていたレヴィの発言で、エジプト起源説と地域的に似ているということもあり、抵抗なく受け入れられました。
当時の支持の高さによって現代でもこの説が生き残っていますが、これもエジプト説同様、いまだに正確な根拠は見つかっていません。
その他の説(ジプシー、中国など)
■ジプシー起源説
これは「放浪するジプシーたちが広めた」というものです。
この説は、ジプシーの歴史を分析すると微妙というか、きわどいタイミングです。
というのは、タロットカードが確認されている最初の記録が、「1400年代前半」のイタリアなのです。
そして、ジプシーが初めてヨーロッパに現れたのは、最初の記録で1407年のドイツでした。
また、フランスに初めて登場したのは1427年。
イタリアに現れたのがいつかはわかりませんが、こうしてヨーロッパの各地に現れ始めたことを考えると、確かに「ギリギリ辻褄が合う」かも知れません。
(なお、ジプシーは差別語とされていますが、「ロマ」は一つの民族であり、タロットの起源を語る場合は、遊牧民全般を差す「ジプシー」が適当とされています。なので、ここではあえて「ジプシー」と表記させていただきました)
■中国起源説
これは、中国に古代からあった占いの「易」の「六十四卦」が、タロットカードに姿を変えて、西洋に伝わったというものです。
「六十四卦」というのは、誰もが知っている「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と関係があります。
勘のいい方はすぐに気づいたと思いますが、八卦と八卦をかけると、六十四卦になります。
六十四卦は「先天の八掛」「後天の八掛」の図象の組み合わせで生まれるものなのです。
確かにこれが絵になったというのは起源として納得できそうな気もしますが、タロットカードは66枚ではなく「78枚」ですから、少し矛盾しています。
数が途中で変わるということはもちろんあるでしょうが、それなら数が変わる前のカードが中国で見つかっているべきなので、それが見つかるまで中国(東洋)起源説はまだ弱いと言えます。
その他の説としてはインド起源などもありますが、結局のところ、どの説が正しいのかは誰にもわかりません。
■まとめ
以上、タロットカードの歴史、起源について紹介しました。
普段、私たちの生活にはあまり関係のないアイテムですが、歴史をたどっていると世界史で習う時代や王国も登場するので、歴史の授業を面白く教えるためなどに、使える知識かなと思います。
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