実は日本人の20人に1人はレズかゲイかバイセクシャルだった!?
2012年に電通総研が行なった調査によると、わが国にはレズやゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなど「LGBT」が5.2%いることが分かりました。
従業員が1000人いる会社には52人、教室に40人いるならそのうち2人、20人の職場には1人、LGBTがいることになります。
「間違いでは?」と感じられる方も少なくないでしょうけれど、7万人弱を対象としており、かなり信頼度の高いリサーチです。
「5.2%」という数字が多いと感じられるのは、LGBTの大半がカミングアウトできずに隠れているからでしょう。
アメリカでは人口の1割という説もありますので、日本に5%程度いてもおかしくはないはずです。
日本に限ったことではありませんが、LGBTに対する偏見や誤解が大きいために、自分の性的指向を明らかにできずに密かに悩んでいる人も少なくないようです。
気がつかないところで、悩みを抱えている人たちを傷つけてしまっている可能性もありますので、LGBTについて正しい認識を持つことも大切ではないでしょうか。
スポンサーリンク
LGBTとは、同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの総称です
性的マイノリティは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)のそれぞれの頭文字をとり、LGBTと総称されています。
自分の性についてまだはっきりとは決められずに迷っている人を「クエスチョニング」(Q)といい、LGBTに加えて「LGBTQ」と呼ばれることもあります。
「クィア」(Queer)という呼び方もありますが、レズビアンやゲイの中にはこの呼称に拒否感を抱く人もいるらしく、必ずしも一般的ではありません。
レズやゲイは異性になりたい人ではありません
しばしば、レズビアンは男性に、ゲイは女性になりたい人と勘違いされていますが、そうではありません。
女性として女性を好きになる、男性として男性を好きになるという「同性愛者」です。「自分は男性(女性)である」と認識した上で同性を好きになるのです。
テレビに登場するゲイの人たちの多くが「女性的」であるために「女っぽい人」と思われがちですが、「男っぽいゲイ」や「女っぽいレズ」も大勢います。
なお、ゲイは「ホモ」(ホモセクシャル)とも呼ばれますが、侮蔑語、差別用語とされることもありますので注意が必要です。
「オカマ」「ニューハーフ」はゲイもしくはトランスジェンダー
「オカマ」には、女性的なゲイ、クロスドレッサー、トランスジェンダーが含まれており、外見からはどのどれなのかはわかりません。
「オカマ」という呼び方は蔑称とされていますので、注意が必要です。
「ニューハーフ」は和製英語で、女装をしたゲイもしくはトランスジェンダーです。英語では「シーメイル」(sheとmaleとの造語)と呼ばれることがあります。
ゲイやレズは誰でも愛せるわけではありません
「ゲイは男性なら誰でも好きになる」と勘違いされてしまうことがありますが、異性愛者と同様に特定の人だけを愛します。
ゲイも普通に恋愛するのです。好みの男性、好みでない男性がいるのは当然です。
バイセクシャルは性の区別なく愛せる人です
バイセクシャルの人は、男性を好きになることもあれば、女性を好きになることもある人です。ゲイやレズの亜流と考えている人もいますが、バイセクシャルは単にバイセクシャルです。
トランスジェンダーは、身体の性と心の性とが異なっている人です
肉体的には男性なのに心は女性、肉体は女性なのに心は男性という人がトランスジェンダーです。
さまざまな状態の人が含まれ、トランスセクシャル(性同一障害)の他、クロスドレッサー(異性装者)、インターセックス(中間性)などがいます。
すべてのトランスジェンダーが性転換手術を希望するわけではなく、女装・男装をするだけの人や、ホルモン注射などで肉体を心の性に近づける人もいます。
スポンサーリンク
なお、トランスジェンダーは異性愛か同性愛かとは関係がありません。トランスジェンダーの中にも、異性愛者、同性愛者、両性愛者がいるということです。
たとえば、肉体的に男性であるのに心は女性である人が、女性を好きになるということもあり得ます。
インターセックスは両方の性をもって生まれた人です
生まれつき男性生殖器と女性生殖器の両方を持っている人や、男女不明瞭な生殖器をもって生まれた人をインターセックスといいます。
どちらかの性を割り当てるために幼児期に手術をすることが多いのですが、思春期をむかえるころに心の性別と一致しないことが分かるケースがあり、トランスジェンダーと似た状態になります。
LGBTは精神障害ではありません
LGBTは性的倒錯、精神障害などではありません。家庭環境が生み出す異常者であるかのごとく勘違いされることも多いのですが、正常に生まれ育った人たちです。
人が生まれつき目の色や髪の色、肌の色が異なるのと同様に、性的指向が異なっているだけのことです。
「治療で治せる」というのも誤った認識です。アメリカ精神医学会は、「同性愛などの人を変えようとする試みは無意味であるだけでなく、偏見に基づいたものだ」と非難しています。
クロスドレサーは必ずしもLGBTではありません
自分の性別とは反対の服装をする人がクロスドレッサー(異性装者)です。一人きりのときにだけする人もいれば、反対の性として社会に出ようとしてする人もいます。
ゲイやレズ、トランスジェンダーの人もいますし、ストレート(異性愛者)の人もいます。
トランスジェンダーが4.1%
電通総研の調査結果はLGBT全体で5.2%ですが、個別にみると、レズが0.1%、ゲイが0.3%、バイセクシャルが0.7%、トランスジェンダーが4.1%(内、男性2.5%、女性1.6%)でした。
レズやゲイよりもトランスジェンダーの方がずっと多かったのです。
トランスジェンダーの内訳は、体の性別を心と一致させたいと考えている人が0.7%、一致させなくてもいいと考えている人が3.4%でした。
誰でも同性愛的要素を持っている!?
アメリカの性科学者であるキンゼイは、1940年代に人間の性行動に関する大規模な調査を行ないました。
調査方法にさまざまな問題があり、集計結果そのものには偏りがありましたが、大きな発見もしています。そのひとつが、「男性は完全にゲイか完全にストレートであることはあり得ない」ということです。
誰もが皆、ゲイ/レズの要素を持っていて、その割合が大きいと同性愛者になるという可能性を示唆しました。同性愛は特別なことではないのです。
幼少期に自分がLGBTであると感じ始める人もいますし、思春期に違和感を覚える人もいます。
周囲の偏見や差別、奇異の目が怖くてカミングアウトできずにいる人は、とても大勢います。
親にも打ち明けられずに一人で問題を抱え続ける人、自分自身の持つLGBTに対する偏見がゆえに深く悩む人もいるそうです。
わたしたちの周りには、そういう人がきっと何人もいるのです。
具体的に力になることは難しいのかも知れませんが、正しい認識を持ち、差別や偏見を持たないで、カミングアウトしやすい環境を作ることはできるのではないでしょうか。
by 水の
スポンサーリンク