モロッコの子供たちに格闘技を指導したら翌日ホテルに30人の大人が!
海外旅行で「襲われる」という話はよく聞きますが、筆者ほど何度も襲われている旅行者は少ないでしょう。
何回も襲われた中でも、モロッコでの出来事には参りました。まさか、30人の「グループ」に囲まれるなんて思ってもみませんでしたから(笑)
言葉が通じないのなら体で通じ合う?僕の武器は肉体言語!
実は筆者は格闘技大好き人間です。小学生のころから格闘漬けの毎日を送り、空手の黒帯も持っています。そんな筆者が世界一周旅行に出たからと言って、格闘技から離れられるはずもありません。
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そんな筆者ですから街角でミットを持ち、道行く人にグローブを付けさせ、殴られる!!筆者は英語も喋れませんし、外国人とのコミュニケーションは肉体言語しかありませんでした。
ここはモロッコ、マラケシュ「飛行機の値段が安い」それだけの理由で行きました
モロッコはアフリカ北西部に位置する国で、広大なサハラ砂漠があることで世界的に有名です。治安はアフリカの中ではかなり良いほうで、一般の日本人観光客もたくさん訪れます。
首都はラバトですが、最大の都市は「カサブランカ」です。ラバトは聞いたことがなくてもカサブランカは聞いたことがあるという方がほとんどでしょう。しかし、筆者はラバトもカサブランカも華麗にスルー。第三の都市「マラケシュ」に滞在することに決めました。
理由はスペインからの飛行機が安かったからというだけで、正直マラケシュなんて名前さえ知りませんでした。しかし、いざ到着してみるとマラケシュは非常に活気があって、とてもいい町でした。ぜひモロッコを訪れたときには滞在して欲しい街です。
ホテルの前で子供に絡まれました。理由はヘンテコな服装!?
実は筆者は世界一周中、インドの涼しい民族衣裳や甚平で生活していました。東北生まれで暑さに非常に弱く、必要以上に涼しい格好でないと生活ができないのです。今考えると、そんな格好でブラブラしていたら目立つのは当然ですね(笑)
その日、筆者は甚平でマラケシュの町をブラブラしていました。そんなヘンテコな格好のアジア人を見たら現地の子供が黙っているわけがありません。子供たちが「ヘイ!!ブルース・リー!!」といきなり声をかけてきたのです。
どう考えてもブルース・リーの格好ではありませんでしたが、彼らにそう見えたのならそれでいいでしょう。何より、格闘技好きの筆者が「ブルース・リー」と呼ばれて悪い気はしません。その場で、得意の空手の形を見せてあげました。
形を打つと気持ちいいほどの歓声が湧き上がりました。「スゴイ!リアルブルース・リーだ」と口々に子供達から褒められ、とても嬉しかったです。・・・筆者はここから調子にのってしまいました。その場で子供達に格闘技を教え初めてしまったのです。
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さすが、アフリカン!!素晴らしい運動神経でした
筆者は形を見てくれた子供たちに、グローブを付けさせました。筆者はミットを持ち、路上格闘教室の始まりです。一人一人順番にパンチの打ち方、キックの打ち方をきっちりと教えました。
筆者は日本でも子供たちに格闘技を教えた経験がありますが、モロッコの子供たちのセンスはずば抜けていました。柔らかくそれでいて重い理想的なパンチ、キックを簡単なレクチャーで繰り出すのです。
人種の違いもあるのかもしれませんが、これだけのセンスと巡りあえるのは日本ではごくまれです。その高いセンスに感動した筆者は一人一人にしっかりとレクチャーしてしまい、気がつけば時間にして2時間ほどみっちりと教えていました。
次の日、ホテルのドアを開けるとそこには屈強な「漢」が30人ズラリ
子供たちに2時間もみっちり教えるのは非常に楽しかったものの、さすがに疲れてしまいました。その日は、レクチャーが終わるとそのままホテルに帰ってゆっくりと寝ることにしました。
次の日、疲れてさっさと寝たせいもあってか筆者はいつもよりだいぶ早く起きました。「せっかく早起きしたし、早朝の爽やかな空気でも吸うか。」と思いホテルのドアを開けました。すると、そこには爽やかな空気ではなく、ものすごい熱気が待っていました。
下は10代から上は70代くらいまでの屈強な男たちが30人ほど、ホテルの前に集合していたのです。どう見てもみんな鼻息荒く怒っているように見えます。ものすごく鼻息の荒い男たちがホテルの前に集合・・・自分で書いていてもシュール過ぎる状況だと思います。
筆者は「なぜこんな状況になったのか?」頭をフル回転させて考えました。答えは一瞬で出ました。昨日の路上格闘技教室です。子供たちのセンスゆえにハードすぎる練習をさせた実感がありました。きっとあの練習で、誰かが怪我でもしてしまったのでしょう。
どう考えても調子に乗った筆者が悪いので、ボコボコにされる覚悟で怒った男たちの前に出ました。すると、「マスター!!俺たちにも格闘技教えてくれよ!!」とお願いされました。彼らは怒っているのではなく、自らに気合いを入れているだけでした(笑)
みっちり大人にも教えたら、その後毎日お茶をおごってくれるようになりました
正直、30人の男たちを見たとき筆者は怖くて仕方がありませんでした。男たちはどう見ても怒っているようにしか見えませんし、前日に子供相手にやりすぎた実績もあるのですから(笑)
しかし、彼らは本当に真面目に格闘技を習いに来ただけでした。一人一人が真面目に僕の指導に耳を傾けてくれたのです。筆者は2時間以上をかけ全員のパンチを受けました。体力的にはとてもきつかったものの、とてもいい経験ができました。
練習の内容的にはお金をとれるレベルでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができたため全員無料で教えました。しかし、次の日から筆者が教えた生徒の家の前を通ると「マスター!お茶飲んでいけよ!!」と声をかけてもらえるようになりました。
2時間みっちり人に殴られて、報酬はたったのお茶一杯。でも、このお茶の美味しさは、いまだに忘れられません。間違いなく世界でただひとり、筆者だけに与えられる「給料」ですから。
文・たきゅ佐々木
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