インドの田舎で廃墟が多いのは建築資材が途中でなくなるから?
私が滞在しているインドのプリーという田舎では、廃墟がしばしば見られます。
現地で長く働いている日本人の方によると「建築資材が途中で無くなって、やめてしまう」というのが主な原因だそうです。
ここではそんなのどかなプリーの建設事情を紹介します。
(写真は、作業中に下を歩く私を見つけて「ジャパニーズ!フォト!」と、撮影を要求してくれた大工さんです)
必要な建築資材を計算せず、とりあえず建て始める
プリーの人々は、必要な建築資材をまったく計算せず、とりあえず建物を建て始めてしまうそうです。
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「何で計算しないんだ?」と思われるかも知れませんが、日本人も自分が一生で必要なお金を事細かに計算しているわけではないので、それと同じような感覚なのでしょう。
建ててみて「建築資材がなくなった」というだけではなく「思ったより部屋が小さかった」とか「電源を引けない」とか、そういう問題は山のように発生するようです。
飲食店の厨房でも、本来つながっているはずの場所をを離して造ってしまった、ということもよくあるようです。
たとえばナンを焼く場所とナンを丸める場所が離れてしまった、というケースです。
日本の厨房だったら大きな問題ですが、インド人は「ナンを投げて渡す」という方法で、何の問題もなくクリアしているようです。
これも上の日本人の方に教えていただいた動画ですが、36秒からの部分でそのスゴ技が見られます。
明らかに設計の不備なのですが、その不備が生み出した神業を見ると、「人間は完璧でないから面白い」ということをあらためて感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZYv1po38icw
*もちろん、こんな技で解決しているインド人はごくわずかでしょうが、設計の不備があっても、目くじらを立てることなく対応しているということです。
建設が中断してしまっても、別に気にしない
「資材がなくなった」という理由で建設が中断してしまっても、プリーの人々はさほど気にしないそうです。
日本だったら、マイホームの建設が途中で終わったとなると、それこそ人生が狂ってしまうほどのショックを受けると思いますが、プリーの人は特に気にしないようです。
気にしないから街全体が学習せず、廃墟がまた一つ、二つと増えていくのかも知れません。
しかし、「世の中には、家の建設に失敗しても悩まない人がいる」と思うと、日本の価値観での自分の悩みも、小さなものに思えてくる気がします。
昔ながらののどかな手作業で作る
プリーの工事現場では、工事用の車両などはほとんど導入されていません。
昔ながらの手作業で、ほぼ全ての作業をしています。
これについてはプリーだけでなく、途上国・途上地域では大抵同じようです。
写真のようなブロック、レンガ、砂利の山があちこちに積まれていて、それを積み上げたり盛り立てたりしながら、建物を造っています。
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■ 女性がサリーを着たまま、肉体労働をしている
プリーに来てまず驚いたのは、サリーを着た女性が建築現場で肉体労働をしていることです。上のようなレンガなら、頭に8個積んで運んでいます。
インドの女性が頭に物を載せて運ぶのは有名ですが、食材や土産物ばかりだと思っていたので、こういう男性が働くような現場で肉体労働をしているというのは、かなり意外でした。
と同時に、「もっと女性に適した仕事はないのだろうか」とも思いました。
(カーストで生まれつき仕事が決まっている、など複雑な事情があるのでしょうが…)
プリーに来ると、建物をどう造るのかよくわかる
プリーの建物の構造は、シンプルなものが多いです。日本の住宅メーカーが建てた家を見ても、どうやって造るのかはわかりませんが、プリーではよくわかります。
例えば上の写真。
これはある学校の増築現場ですが、今の建物の屋根の上に、レンガを積んで2階を造っています。
日本人は「2階を増築する」というと、かなり複雑に考えてしまいますが、よく考えたら、こうしてレゴの家を増築するように、レンガを積んでしまえばいいのです。
柱の作り方も、このようにシンプルです。
拡大して見てみても、柱に鉄骨が入っている様子はありません。
レゴのブロックを積むのとまったく同じ要領で、レンガを積んで柱を造られるということでしょう。
もちろん、造りが簡単な分、人間の手作業が多くなりますし、自分などの体力では絶対できません。
しかし、建築物の構造というのは、本来こんなに簡単なものなのだ、ということは教えてもらえます。
そして、その感覚は他の場所でも生きてくるでしょう。
どんなジャンルでも、いきなりハイレベルなことは出来なくても、シンプルに考えれば「とりあえず始める」ことはできるのだ、と思いました。
(最後に、もう一人の大工さんと、自然素材で造られた民家の写真です)
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