電車の中での居眠りは世界でもユニークな日本の文化だった!?
日本では電車の中で居眠りをする姿をよく見かけます。
通勤電車の中では寝ているかスマホをいじっているかどちらかの人が多数ではないでしょうか?
ごくありふれた光景ですが、外国人にはとても異様な光景に写るそうです。
国によっては、人前で眠ることが失礼になるらしく、また、犯罪として取り締まられることもあります。
どうやら、居眠りは日本のユニークな文化のようです。
外国では電車の中で眠らない!?
欧米の映画やテレビドラマの電車の光景に、居眠りをする人はあまり登場しません。
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たまに眠っている人がいれば、ホームレスか「危ない人」であるケースが多いです。外国では電車の中ではあまり眠らないようです。
イギリスやドイツの新聞で、日本人が電車内で居眠りをする光景がニュースとして報道されたこともあり、とてもヘンな国民だと紹介されています。
人間関係のバランス!?
イギリスのケンブリッジ大学の准教授であるシテーガ女史は、日本滞在中に日本人の居眠り習慣にとても興味を持ち、「世界が認めたニッポンの居眠り」という本を出版しています。
奇妙な行為だとしながらも、日本独自の文化で、電車内で知らない人同士の人間関係のバランスをとることに役立っていると分析しています。
たしかに、車内で皆が目を見開いて見つめ合ったりしていれば、かなり居心地が悪くなるのではないでしょうか。
眠ることでお互いに干渉しあわないという関係ができているのかもしれません。
乗り物で居眠りをすると罰せられる国もあります!
ロンドンではバスに乗っているときに眠ることは違法行為です。
眠りこけて停留所を乗り越したために切符が無効になった修道女が、バス会社から訴えられた事例もあります。
アメリカのウェストヴァージニア州では、列車に乗っているときに居眠りすることは禁じられています。
ニューヨーク市でも地下鉄での居眠りは違法です。
余談ですが、ニューヨークでは、公共の乗り物内で携帯用音楽プレーヤーなどから音漏れをさせると罰せられます。70ドル~175ドルの罰金です。
電車で眠ってしまうと危険!?
欧米で、乗り物内の居眠りが違法とされているのは、それが失礼にあたるということもありますが、危険な行為だということが大きいようです。
電車内で居眠りをすれば、持ち物全て盗まれてしまうということが珍しくないため、犯罪を誘発することから禁止されています。
訴訟大国のアメリカでは、鉄道会社側が居眠りが危険だと知らせなかったおかげで犯罪にあった、と訴えられないための予防措置的な意味もあるようです。
日本人が居眠りをできるのは、それだけ日本が安全な国だからなのでしょう。
日本人は世界でもっとも眠らない国民です
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の睡眠時間は韓国と並んで世界で一番短いそうです。
平日の平均は7時間50分、もっとも長いフランス人の平均8時間50分と比べると、1時間も短いのです。
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精力的に働いていそうなアメリカ人でも、8時間38分と日本人よりずっとよく眠っています。
東京のサラリーマンの平均睡眠時間は6時間を切っているともいわれており、多くの人が慢性的な眠不足となっています。
遅い時間まで残業し、退社後には飲み会がありと、早く帰宅することができません。
日本人は、夜の睡眠不足を列車の中で取り戻しているのでしょう。日本と同様に睡眠時間の短い韓国でも、列車内の居眠りはあるそうです。
参考記事:7時間睡眠が最も死亡率が低い?~世界一睡眠時間が少ない日本人
授業中に居眠りするのも世界一!?
日本青少年研究所の調査によると、日本、米国、中国、韓国の高校性の居眠りを比較したところ、授業中に居眠りをする生徒の割合は日本人が一番高かったそうです。
「いつも」「ときどき」を合わせると、日本人は45.1%の生徒が居眠りをしているのに対し、韓国は32.3%。米国は20.8%、中国は4.7%でした。
日本の高校生は怠け者とも考えられますが、面白くない授業で自分の時間を浪費しないという「自己防衛」のセンスが高いとみることもできるのではないでしょうか?
日本人の最も大切なことは「寝ること」!?
日本のサラリーマンにアンケート調査をしたところ、「生活の中で一番大切なことは何か?」という問いに対して、「寝ること」をあげた人がもっとも多かったそうです。
同じ質問をニューヨークのビジネスマンにしたところ、「家族と過ごす時間」がトップでした。
通勤時間が世界一であることも影響している!?
イギリスのエコノミスト誌が世界13カ国の通勤時間を調査したところ、最も長かったのが中国の42分でした。
この調査対象には日本は含まれていませんので、直接の比較はできませんが、総務省の調査によると、日本の男性の通勤時間の平均は79分、女性は66分ですので、日本は世界一の通勤時間大国なのかもしれません。
ドイツは33分、フランスは31分、アメリカは23分、カナダは22分です。こんなに短くてはとても居眠りができませんよね。
日本人は電車に乗っている時間が長いため、居眠りができるという要素もあるのでしょう。
長い電車内の時間を、休息に活用したり、スマホで情報収集したりと有効活用しているとみることもできるのではないでしょうか。
いつか「居眠り」がサブカルチャーになる!?
1960年代に、がむしゃらに働く日本人は、「エコノミックアニマル」と呼ばれ批判されました。
日本人の「働きすぎ」は50年も前から指摘されてきたことですので、すぐに改善されるものでもないでしょう。よく働くというのは悪いことではありませんし。
通勤時間の長さも個人の力ではどうしようもありません。
電車の中での居眠りは礼を失した行為かもしれませんが、アニマルが休息をとるためには必要なことでもあります。
居眠りができるほどの安全性は日本の大きな長所です。電車で安心して眠ることもできない国こそヘンだともいえるでしょう。
ときどき、立ったまま吊革につかまって眠っている人もいます。「神業」(かみわざ)的テクニックと称賛されてもいいかもしれません。
また目的地に近づくと、突然目を覚ますという時間管理能力も高く評価されてしかるべきです。
80年代、90年代には、通勤電車の中でマンガを読むサラリーマンの姿が、欧米のメディアでバカにされたことがありました。
しかし、そのマンガ文化は、今や世界をリードするサブカルチャーとして認められています。いつの日か、日本の居眠り文化が世界的に認められる日がこないとも限らないのではないでしょうか?
by 水の
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