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ヒヤリハット10回に1回事故が起こり300回に1回大事故が起こる?

2014.04.22

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ヒヤリとしたりハッとしたりする危ない思いを「ヒヤリハット」といいますが、日常生活の中でも仕事中でも、誰でも一度や二度はそうした経験はあるものでしょう。

統計によると、ヒヤリハットのおよそ10回に1度は軽度の事故が、300回に1度は重大な事故が起こるそうです。これは「ハインリッヒの法則」と呼ばれています。

危険な目にあわないように誰でも一定の注意をしているものですが、それでも「不注意による」事故は起きてしまうもの、「不注意」って、どうして起こるのでしょうか?

ハインリッヒが発見した事故の起こる確率とは?

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アメリカの損害保険会社で損害調査部長をしていたハインリッヒは、労働災害が一定の確率で起こることを発見し、1929年に論文として発表しました。

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これが「ハインリッヒの法則」と呼ばれているものです。

彼が5000件あまりの事故を調べてみたところ、ひとつの重大な事故の背後には、軽い事故が29件あり、さらにその背後には300件の「ヒヤリハット」がありました。

この法則に基づき、「大きな事故を防ぐには、ヒヤリハットをひとつずつつぶしていくことが必要だ」といわれています。

「注意」は波のように変動し、数秒しか続かない!?

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専門家によると、「不注意」とは「注意」がなくなったときではなく、低くなった瞬間のことだそうです。

このふたつは別ものではなくて、連続した波のようなもの。高くなったり低くなったりと変動します。

動かない刺激に対して人がはっきりと意識していられる時間は、せいぜい数秒間だといわれています。

何か気になるものに注意が向けられても、それが動いたり色が変わったりしなければ、数秒後には関心が薄れてしまいます。

「注意」の数秒後には不注意状態に近づいているのです。

誰でも聖徳太子と同じように、7つのことを同時にできる!?

人が一度に注意を向けられるのは7個前後だといわれていて、これより多くなると目が届かなくなり「不注意」が起こります。

聖徳太子やナポレオンは、7つの事がらを同時に処理できたといわれています。種類は違いますが、同じくらいの数の刺激に意識を向けることは誰にでもできることです。

たとえば自動車を運転しているとき。

前方を注意しながらミラーで後ろも見て(1)、ハンドルを操作し(2)、アクセルやブレーキを踏み(3)、ギアを操作して(4)、音楽を聴き(5)、ドリンクを飲みタバコを吸い(6)、社内の温度を気にして窓を開ける(7)ことができます。

しかし、この数を超えるとヒヤリハットが起こりやすくなるのです。

ドリンクをこぼして慌てる、電話で話をするなどが加わると、他のどれかの注意が弱まります。

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集中力の量には限度があり、それを振り分けている

集中する力の大きさには誰にでも一定の限界があり、全体をいくつかの事がらに配分しているのだそうです。

自動車を運転しているときには、前方を見ることに多くを割いて、アクセルやブレーキにも一定量を割り当てています。

その他の事がらには小さな注意しか向けていません。

そこに別の大きな刺激が加わると、配分バランスが崩れて「前方」や「アクセル/ブレーキ」に「不注意」が生じるのです。

悩みごとに気を取られていたり、急に大きな音がしたりすると注意がそちらに向けられて、前方に対する集中力が薄れ、ヒヤリハットが起こりやすくなります。

人が見ているものが真実だとは限らない

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▲下(b)の直線部分の方が長く見えませんか?

人は自分の目にしているものが「正しいもの」だと信じていますが、しばしば誤った認識をしてしまうそうです。

「錯視」の実験に使われる図形を見ていただければわかる通り、本当は同じ長さの2本のラインが違う長さに見えたり、直線が曲がって見えたりすることがあるものです。

この錯視によってもヒヤリハットが起こり得ます。
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▲直線ではなく少し曲がっているように見えませんか?

また、意識や思い込みによっても見えるものは違ってきます。

「顔色をみる」というような表現がありますが、本当は元気な人であっても見る側の意識によって病気に見えたり、不機嫌に見えたりすることもあるものです。

先を急いでいるときには、次の信号を見ているつもりが2つ先の信号を見ていたり、広大な風景の中でスピードが上がりすぎていることに気づかないことがあります。

冷蔵庫を開けたのに何をしようとしていたのか忘れた、ということもあります

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何のために冷蔵庫を開けたのか、どうして2階まで階段を上がったのかド忘れしてしまった、というような経験は誰にでもあるでしょう。

「ジュースが飲みたい」「本を読みたい」という目的と、「冷蔵庫を開ける」「2階に取りに行く」という意図との間の結びつきが弱いと、こうしたド忘れが起こりやすくなるのだそうです。

もともとの目的が大したものでないときには、意図だけが記憶に残り目的を忘れてしまうことがあるのです。

車でも目的地に対する意識が低いと、曲がらなくていい角を曲がってしまったり、右折すべき交差点を直進してしまったりすることがあります。

こうしたときに、信号を無視したり、対向車に気づかなかったりというヒヤリハットが起こりやすくなります

ハインリッヒの法則は、「10回目に軽い事故にあう」「300回目に大きな事故にある」というものではありません。1回のヒヤリハットで事故のリスクが10分の1(9.7%)、重大な事故のリスクが300分の1(0.3%)あるということです。

「300分の1」が今日起こることもあり得ます。注意力の特性を意識して、ヒヤリハットが起こらないように気をつけましょう。

by 水の

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