歳のせいで「ど忘れ」が増えた?~いえ、本当は子供の方がど忘れします!
ある程度の年齢になると「ど忘れが増えた」と自分の脳の老化が気になるものですが、実は大人も子どもも記憶力には大きな差がないことが分かっているそうです。
「ど忘れ」の頻度を比べてみると、むしろ子供の方が多いほどなのだとか。けれども、若い頃の方がずっと記憶力が良かったと多くの人が感じています。
本当に記憶力に差はないのでしょうか?
ど忘れの回数を多く感じるのは、物覚えがいいから!?
子どもの頃によく忘れ物をする同級生がいませんでしたか? ペンケースをを忘れた、教科書を忘れた、体操着を忘れたなどなど、自分自身のこととして心当たりのある人もいるでしょう。
考えてみると子どもは結構忘れ物をするものです。大人になると、しょっちゅうする人はそれほど見かけなくなります。
スポンサーリンク
大人と子どもに、「最近何回くらいど忘れをしたか?」と質問すると、大人の方がかなり多くの回数を答えるそうです。
それをさらに詳しく調べると、子どもは過去1週間くらいの回数を答え、大人は半年分くらいを答えていることが分かりました。
つまり、こどもは1週間以上前のことは忘れていて、大人は半年も前のことまで覚えているのです。
大人の方が記憶の保持力が高いために「忘れた」ことをしっかり覚えていて、「よく忘れる」という気分になっていることが判明しました。
「ど忘れが増えた」と感じる理由は、記憶力が良いせいだったのです。
115才の老婆の脳は老化していなかった!?
オランダで、115才で亡くなった女性の頭を解剖して調べたところ、脳の機能がほとんど老化していなかったそうです。
このことから、人の脳の寿命は120年程度あると考えられるようになっています。
高齢になると脳の病気にかかるリスクが高まりますが、それは脳が老化したのではなくて、血管が衰えたことによるものです。
脳そのものはとてもタフにできています。
たくさん入っている袋から取り出すのは難しいのが当たり前!?
人間の脳は、情報をどんどん溜め込んでいきます。20才の時に入っている情報量と50才の脳に入っている量とでは格段の差があります。
年齢から単純計算すると2.5倍ですが、大人になってインプットされた情報の方が量的には圧倒的に多いでしょうから、何倍も蓄えられているはずです。
さまざまな色のビー玉の入っている袋に「赤い玉」を1つだけ入れます。
袋にビー玉が10個しか入っていなければ「赤」を見つけて取り出すのは簡単です。
しかし、1000個入っていれば、見つけるのは難しくなります。
スポンサーリンク
高年齢になって「なかなか思い出せない」という経験をよくするようになるのは、それと同じこと。
たくさんの情報が入っている中から引き出そうとすれば時間がかかったり、見つからなかったりするのは、物理的に当然のことなのです。
疲れやストレスで記憶力は落ちてしまいます
誰でも疲れているときには、勉強しても頭に入りにくいものです。ミドルエイジは若いころよりもストレスも多く疲れています。
毎日楽しく暮らしている大学生のときに比べて、中年の方が情報を蓄えにくくなるのはそれも原因です。
脳が衰えたのはなく、疲労によってインプットされにくくなっているのです。記憶する力を高めたいなら、ゆっくり休み、たっぷり睡眠をとることも大切です。
鉛筆を加えると記憶力が高まる!?
人は興味のあることや楽しいことは頭に入りやすいものです。
若いころには、経験値が少ないために、さまざまなことが「初体験」、多くのことに興味を持てるし、楽しむこともできます。
歳をとることによっていろんな経験を積み重ねると、必然的に「新しいこと」が減っていき、「初体験」が少なくなります。
関心を持って取り組むことが少なくなってしまうため、記憶しにくくなるという面もあるようです。
ワクワクしているときには脳の海馬から「θ(シータ)波」というものが分泌され、記憶力が高まるそうです。
楽しみながらすると覚えやすくなるのは、このθ波のおかげ。よく笑うと頭が良くなるのです。
θ波は笑うと自動的に出てくるため、たとえ楽しくなくてもむりやり笑顔をつくると記憶力が高まります。
何かを暗記するときには唇で鉛筆を加えて口角を上げると、覚えやすくなるのだそうです。
人は単純な動作を繰り返すと間違えやすいものです
たとえば、ひらがなの「お」という文字を繰り返し書いてみてください。「お お お お お お お お お…」と書きつづけていると、いつのまにか、「あ」とか「す」「む」などと書き間違えてしまいます。「お」と書くというだけの単純な作業なのに、どういうわけか、うっかりミスをしてしまうのです。
これは脳がひとつひとつを単体として覚えているのではなく、似た動作をパッケージとして蓄えているからだそうです。
「お」という字を書く動作と似たもの、例えば「あ」「む」「す」などをひとまとまりに格納しているために、「お」を取り出そうとすると、「あ」や「む」も一緒に活性化されて出てきてしまいます。それで、「誤字」をしてしまうのです。
加齢とともに、こうした記憶のパッケージの数が増え、大きくなるため、うっかり間違えてしまうことも増えるのです。
脳は入れるより出すのが得意です
ハーバード大学の研究で、記憶を定着させるにはインプットするよりもアウトプットした方が効率が良いことが分かりました。
脳は、「こんなに入ってくるなら覚えるか」ではなく、「こんなに出すなら覚えるか」となるのだそうです。
何かを暗記するときには、テキストを何度も読み返すよりも、問題をたくさん解いた方が効率的ということが確かめられました。
人の名前を覚えるときにも、「この人は○○さん」と頭の中で繰り返すよりも、「○○さんは…」と話しかける回数を増やしたほうが早いそうです。
「ど忘れが増えた」と感じるのは脳の老化ではありません。中高年になっても若いときのままの元気な脳があるのです。安心してどんどん使いましょう!
by 水の
スポンサーリンク