日本の文具が世界中で大ヒット!~消せるボールペンもフランスで人気
モノづくりにかけては地球一のわが国の文具が、今世界中で大ヒットしているそうです。
電機や自動車メーカーなどの国際的な活躍と比較すると、文具業界の海外進出はそれほど目立ちませんでしたが、ここにきて急に勢いづいているようです。
少子化の影響で国内需要が低迷したこともあり、マーケット拡大のために文具メーカー各社が世界戦略に力を入れたことも背景にあるようです。
日本製がウケる最大要因は、やはり「モノが優れている」ということ。日本人ならではの繊細な気配りや機能性、かわいいデザインが人気の秘密です。
国内では「不正な利用」が物議をかもした「消せるボールペン」も、フランスの子どもたちには大人気、便利なリングノートや針を使わないホチキスなどなど、さまざまな文具が世界中で売れています。
消せるボールペンがフランスでウケるわけは子どもが鉛筆を使わないから!?
ボールペンなのに鉛筆のように消せることで人気を集めているパイロット社の「フリクション」、熱すると透明になるインクを使っているので、ゴムでこすると摩擦熱で消えるという便利なペンです。
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2006年に発売されて世界的に大ヒット、現在は90か国で販売され累計で9億2千万本も売れたそうです。
特にフランスでは、子どもたちにとっての必須アイテムになっています。
ヨーロッパでは小学生が鉛筆ではなくボールペンや万年筆を使うのが一般的で、修正液で消すため何度も書き直すことができません。
ところが「フリクション」なら、いくらでも消せるためとても便利なのです。
▲4色ボールペンも新登場!(800円程度)
日本製なのに、国内より先にフランスで発売された!?
フリクションがフランスで発売されたのは、日本よりも先です。
パイロットの現地法人の社長が、消せるボールペンを開発中という話を社内で耳にして「フランスで絶対に売れる!」と確信、開発を急がせたという経緯があったのだそうです。
日本での発売は2007年3月ですが、フランスでは2006年1月に発売を開始。6年間で6,000万本も売れたそうです。
同国の人口は6,500万人ですので、それに匹敵するほどの本数が売れたことになります。
フランスといえば世界最大の文具メーカー「ビック」の国です。
そのおひざ元で、ビックの50円のボールペンよりも、300円のフリクションの方が売れているというのですから、本当にすごいことです。
なんとっ!ヤカンでも消えた!
フリクションで書いた文字は、ペンのヘッドについているゴム部分でこすれば消すことができます。
それは「摩擦熱によってインクが透明に変化するから」です。ということは、他のものでも摩擦を起こせば消せるのでしょうか?
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試してみると、普通の消しゴムでも消すことができました。
熱くなれば消えるのであれば、こすらなくても温度を上げさえすればいいのか? と、温めたヤカンを文字の上にのせてみたところ、何と、 みごとにすっかり消えました!
ちなみに、文字は65度で消えるのだそうです。おそらく、ストーブにあてたりしても消せるのでしょう。
意外と人気の高いリングノートのロルバーン!
▲これは8年ほど使用したものです
文具通の間では、以前から「一番人気」のリングノート「ロルバーン」(Rollbahn)、ドイツ語のような名前ですが、「デルフォニックス」という日本の会社の製品です。
表紙の厚紙の角が丸くしてあるため、使いこんでも折れたりめくれたりしにくく丈夫です。
中の紙は目にやさしいとされるクリーム色で、ミシン目が入っているので切りとれて便利です。
しかも目の粗さが絶妙で、使用中に破れてしまうことのない強度があります。
ノートの後ろにはフィルムポケットが5枚ついていて、メモやカード、レシートなどを保存できます。
また、フィルムが厚紙で挟まれているため、よれにくい構造になっているのも特徴です。
ノート全体がバラバラにならないようにゴムバンドもついているなど、機能性は最高。さらに、表紙は15色あり、カラ―バリエーションが豊富なことも人気の秘密です。
失礼ながら、「デルフォニックス」という会社は日本ではそれほど知名度が高いわけでもありません。
そんな会社が、フランスではルーブル美術館の地下に店舗を構え、カラフルな商品を中心に同社オリジナル商品と日本製筆記具などを販売しています。
洗練された文具は飛ぶように売れて、中でも「ロルバーン」は一番の人気だそうです。日本では750円前後のA5サイズのものが、倍の1,500円~1,600円で販売されています。
針のないホッチキスは「お子さまにも安心」なためヨーロッパで大人気!?
PLUS(プラス)の発売する、針を使わずに紙を折りこんで書類をとじる「ペーパークランチ」、閉じられるのは6~8枚程度ですが、針がないことから小さな子どもでも安心して使えるという大きなメリットがあります。
また、価格も400円~1,000円とリーズナブルで、針を交換する必要もなく、コストパフォーマンスが高いのも特徴です。
こうした安全性とユニークさがウケて、ヨーロッパでも大ヒットしているそうです。
文具の国内市場は縮小傾向がつづいています
矢野経済研究所の調査によれば、日本の文具市場は2007年に5,400億円程度あったものが2013年には4,700億円程度へと縮小しています。
少子化の影響でかつてのような市場拡大は見込めない中、メーカーは海外マーケットに目を向けざるを得ない状況にあります。
日本の文具が世界で注目されるようになったのには、こうしたことも背景にあります。もともと国内では認められていた製品も、海外では売られていなかったのです。
個人情報を守るアメリカでは「ケシポン」が大人気です!?
PLUS(プラス)の個人情報保護スタンプ「ケシポン」は、ダイレクトメールなどを捨てる際に、自分の住所氏名の部分を隠すために使います。
個人情報のセキュリティに神経を使うアメリカで、これが大ヒット、ダイレクトメールに光沢紙を使うことの多い事情に合わせて、商品を改良して発売したこともヒットの要因だそうです。
「かわいいもの」がウケるというベトナムでは、ドラえもんなどのノートが大ヒット、アジア各国で、折りたためるハサミや小さな修正テープなど、使い勝手の良い製品がとても人気となっています。
日本の繊細なモノづくりや美意識は、文具においても世界的に信頼を集めています。わが国の文具メーカーの製品開発力は、世界の中で突出して優れているのです。
by 水の
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