ロコモって何?~40才以上の5人に1人はロコモ予備群だった!?
「メタボ」(メタボリックシンドローム)については9割以上の認知率があるそうですが、「ロコモ」と聞いてもピンとくる人は、まだ多くはないでしょう。
厚生労働省がこれから流行らせようとしている言葉です。要介護状態の4人に1人は「ロコモ」とされ、40才以上の5人に4人は「ロコモ予備群」といわれています。
運動器がおとろえて介護が必要になる症状全般のことですが、若いうちからの生活習慣によって、かなり予防できるそうです。
日本は長寿国!といっても、元気に生きられる年数はそれほど長くない!?
日本人の寿命は男性がおよそ80才、女性が86才となっていますが、健康に問題ない状態で生きられる年齢についてみてみると、必ずしも「長寿」ともいえないようです。
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厚労労働省の調べによると、わが国の「健康寿命」は、男性は70.4才、女性は73.6才と、実際の寿命よりも10年前後短いのです。
人生の最後に男性は平均して9年、女性は12年も、「不健康な期間」があることになります。
体を動かせないまま何年も過ごすのでは、楽しくないでしょう。人生を豊かにするには、この期間をいかに短くするかが大切で、そのために「ロコモ対策」が重要となってくるのです。
要介護の4人に1人はロコモだった!?
ロコモとは「ロコモティブシンドローム」の略で、運動器のおとろえによる症状全般をさしています。
わが国で名づけられたもので、ロコモーティブ症候群、運動器症候群とも呼ばれます。
ロコモティブ(locomotive)とは、「運動」とか「機関車」という意味の英語で、骨や軟骨、関節、筋肉など体を動かすために必要な「運動器」全般をさしています。
長く歩けない、片足で靴下がはけない、手すりにつかまらないと階段がのぼれない、家の中でつまずいてしまう、などがロコモの症状です。
年をとると、だんだん体の動きがにぶくなり、立ったり歩いたりすることも難しくなるケースもあります。
生活全般に誰かの助けが必要になって「要介護」になる人も少なくありません。
わが国では、要介護の原因のおよそ4分の1が運動器のおとろえによるもので、長く健康に生きるためにロコモ対策の必要性がとりだたされています。
原因は骨や関節の病気と加齢です
転びやすくなったとか、歩きにくくなったなどの状態がロコモ。ある程度の年齢になれば多くの人が感ずる症状ですが、原因には二つあります。
ひとつは病気によるもので、骨が弱くなる「骨粗しょう症」(こつそしょうしょう)や、ヒザなどの関節が擦りへって痛くなる変形性関節症等によって運動能力が低下するケースです。
もうひとつは加齢によるもの。年齢とともに筋力は落ち、骨も弱くなります。関節の軟骨もすり減りスムーズに動かせなくなるものです。
運動がとても大切~生活習慣の違いで80才までに3倍の差がつきます
筋力は何もしないでいると、20代をピークにどんどん衰えていきます。特に、素早い動きに必要な膝から腰までの下半身の筋肉は失われやすいと言われます。
普段の生活習慣の違いによって、80才までのあいだに筋力は3倍もの差がつくそうです。
それが顕著(けんちょ)に現れるのが歩く速さ。お年寄りの中には、信号が青のあいだにわたりきれないひとがいます。
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横断歩道の信号機は1メートルにつき1秒程を目安にしていますので、秒速1m以下になってしまっているということです。
踏切でも、遮断機が降りるまでにわたりきれないなど、歩くスピードが遅くなると不便なだけでなく危険もともないます。
ロコモ対策のための生活習慣とは?
メタボ対策でも言われていることですが、健康のためには運動が必要です。
しかし、「そう言われてすぐにできるようなら苦労はしない」というひとも少なくないでしょう。
「忙しくて時間がない」とか「やる気が起こらない」という場合には、生活習慣を少し変えるだけでも対策になります。
駅や会社でエレベーターやエスカレーターをやめ階段を利用するように心がける、自宅から駅までの道のりを少し速足で歩く、などするだけで、大きな差がつくそうです。
ちょっとしたことを億劫(おっくう)がらずにするように心がけると良いでしょう。
骨と筋肉をつくる栄養素をとることも大切です
運動をしても、タンパク質をとらないと筋力はつきません。
肉や魚、大豆など複数の食品から補給すると必須アミノ酸をとることができるため効果的だといわれています。
また、ビタミンB6にはタンパク質を分解・合成しやすくする働きがあるので、赤ピーマンやマグロの赤身、キウイやバナナをよくとると良いそうです。
骨を強くするためにはカルシウムが必要ですが、吸収を高めるビタミンDや、質を高めるビタミンKなども大切です。
魚やキノコ類、納豆や青菜をとると良いそうです。また、タンパク質も骨の材料になります。
10年間で歩数は1,000歩も減った!?
社会が発展したおかげで便利になりましたが、その結果、ロコモになりやすい環境ができあがったとも言われています。
エレベーターのない駅は少なくなり、近くにコンビニなどの手軽に買い物のできるお店が増えました。
ネットで注文すれば、外出しなくてもなんでも手に入れられます。
生活全般の活動レベルが下がり、からだを動かす機会がへっていることが、ロコモ増加の要因として危惧(きぐ)されています。
2000年頃と比較すると年間で、日常生活の「歩数」は1,000歩ほども少なくなったそうです。
ロコモにならないためには、若いときから体を動かすクセをつけることがとても大切だといわれています。
将来の健康寿命をのばすために、日常の生活を見直してみてはいかがでしょうか。
by 水の
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