喫茶店のモーニング発祥の地は?~激戦区が生んだ差別化のサービス
美味しいコーヒーにおしゃれなパンやサラダがつくモーニングサービス。
一日の始まりを気持ちよくしてくれる、とてもありがたいシステムです。
この記事では、喫茶店のモーニングサービスはどのように始まり、広まったのか、その歴史を紹介します。
発祥は愛知県一宮市・豊橋市
一般的に発祥の地とされているのは愛知県で、その中でも一宮市と豊橋市が有力です。
一宮は愛知県の「左上」、豊橋は「右下」なので、まったく正反対の場所で始まったというわけですね。
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どちらの場合も愛知説が有力なのは、愛知がそもそも喫茶店の激戦区だったからです。
昔から多数の喫茶店が乱立して激しい競争をしている中で、差別化のために自然と生まれたということです。
「最初に始めた」のが他の地域のお店だったとしても、競争が激しくなければそれを他店が真似することもないというわけです。
競争が激しかった愛知だからこそ、誰かが始めた時に「一気に広まり」、ここが発祥の地とされるようになった、というわけですね。
(本当の発祥の地がどこかは、現時点では誰にもわかっていませんし、そもそも「発祥の地」というのは「最初に始まった場所」というより「最初に定着した場所」の方が正しいと私は考えます)
参考記事:喫茶店ブームが再来? ~その火付け役は名古屋・岐阜のあのお店!
従業員へのまかないのパンをお客さんに出した?
豊橋が始まりとする説では、かなり具体的なものがあります。
「東三河モーニング街道研究会」という団体さんによるデータですが、過去に豊橋駅前にあった「仔馬」という喫茶店で、この地のモーニングが始まったそうです。
そのきっかけは「従業員用のまかないのパンを、お客さんにも出した」というものでした。
まかないのパンということで、おそらく無料で出したのでしょうが、それがそのまま「コーヒーの代金でパンもついてくる」という現在のスタイルになったのではないか、という指摘です。
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ちなみに、私は三河の出身で豊橋の友達も多くいたので、豊橋駅には何度も行っています。
仔馬があったと指摘される駅前の風景は、今でもリアルに思い出せるので、あの場所が全国のモーニングの発祥の地だと思うと、感慨深いものがあります。
■一宮説の場合は?
一方の一宮説は、今のモーニングと同じで「朝から集まったお客さんのために、パンやピーナツ、ゆでたまごなどを出した」というものです。
Wikipediaによれば「商談などで朝から集まった人のため」と書かれています。
別に商談でなくてもこれらのサービスは嬉しいでしょうし、むしろ商談だと書類を広げる邪魔になりかねないので、商談は関係ないというのが私の個人的意見です。
(書類なしの商談ももちろんありますが)
一宮にも友達がいたので何度か行ったことがありますし、現地の喫茶店に入ったこともあります。
喫茶店の件数は今でも確かに多いので、こういう激しい競争の中で、差別化のためにモーニングが始まったというのもうなずけます。
記録に残っているのは、1956年の広島のカフェ
正確な記録が残っているのは、1956年の広島の喫茶店のものです。
当時の写真の店内風景に、はっきりと「モーニング」という文字が映っており、メニューや値段もわかっています。
メニューの内容はパン、コーヒー、目玉焼きで、料金は60円でした。
もちろん今とは物価が全然違うので、60円とはいっても現在の400円くらいだとは思いますが、「写真で記録が残っている」というのは、こういうマニアックな歴史を調べる方にとっては面白いかもしれませんね。
ちなみにこの店舗の名前は「ルーエぶらじる」というもので、広島市の商店街の中のお店ということです。
現代のモーニングサービス
このように約60年前に始まったモーニングは、今では個人店からチェーン店まで含めて、当たり前のサービスとなっています。
プロント、エクセルシオールなどの大手のチェーンでもモーニングサービスがありますし、朝マック、朝モスなどハンバーガーチェーンでも同様のサービスが展開されています。
ジョナサンなどのファミレスでもありますし、うどん屋さんなどのカフェとまったく違う業種でも、パンの代わりにうどんをつけるなどのサービスがあります。
このようにあらゆる場所でモーニングという言葉が使われる中で、この言葉が「おまけのサービス全般」に使われることも多くなりました。
実際「一日中モーニング」というお店は中京圏を中心に多く存在しており、カフェの世界でも「昼夜逆転」というか「昼と夜の境目が曖昧な生活リズム」が生まれているのかも知れません(笑)。
モーニングの歴史は上の通りです。
毎日使っているカフェのモーニングを楽しみながら、こういう歴史を思い出してみるのも面白いかも知れません。
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