子どもの睡眠があぶない!~ 眠らない子どもたちのとても深刻な問題
目覚まし時計が鳴ってもなかなか起きられないということはありませんか?
睡眠のリズムが狂って、夜は眠れず朝は起きられなくなると、仕事や学校に行くことが難しくなるばかりか、体にも悪い影響が出てきてしまいます。
今、子どもたちの睡眠が減り、睡眠リズムを調整できない子が増えているそうです。
起きられないのは怠けているわけではないのかも?
日本人は世界でもっとも睡眠時間の短い国民なのだそうです。特に最近は子どもの眠る時間がますます短くなったことが問題となりつつあります。
スポンサーリンク
脳に悪い影響をおよぼし、高校の中退の原因とも関係していることがわかってきました。
朝起こしてもなかなか起きられないのは、怠けグセがついているのではなくて、睡眠リズムに障害を起こしているのかも知れません。子どもの睡眠がとてもあぶないのです。
30年で40分も短くなった小学生の睡眠
アメリカの睡眠財団のレポートによれば小学生に必要な睡眠は10~11時間とされていますが、文部科学省の2000年の調査では日本の小学生の平均睡眠時間は8時間43分。1時間以上も足りていないことになります。
1970年当時は9時間23分あったそうですので、30年で40分も短くなったのです。
子どもたちに何が起きているのでしょうか?
深夜0時過ぎまで起きている小学生は15年で4.5倍に!
最近の子どもは夜眠りにつく時間が遅くなったそうです。
2000年の日本小児保健協会調査では、夜10時以降に起きている子どもの割合は、1歳児が54%、2歳児が59%、3歳児が52%。赤ん坊のときから半数以上が10時以降まで起きていることになります。
3歳児の場合、1980年ころには2割程度でしたので倍以上にふえています。
深夜営業のコンビニやファミレス、居酒屋などがふえて親が夜ふかしになったことや、インターネットや携帯電話などのメディアの利用時間が増加したことと関係があるようです。
幼児期から夜ふかしに慣れている子どもたちは、小学生になるとさらに深夜型化して、夜中の0時過ぎまで起きている小学生は、この15年間で4.5倍、中学生は2.7倍に増加したそうです。
眠る時間が短いと脳の「海馬」が小さくなる!?
東北大学の研究によると、睡眠が短いと脳の「海馬」(かいば)の体積が小さくなるそうです。これは動物実験でも確認されています。
海馬が小さくなると、ストレスを抱えやすくなり、うつ病やアルツハイマーなどのリスクも高まると言われています。
成績上位者ほど早く眠る!?
スポンサーリンク
海馬は記憶とも大きく関係しているため、学習能力や認知力にも影響をおよぼすと考えられます。
文部科学省の調査によると、成績が上位の子どもほど早く眠りについています。
小学生の場合、算数、国語、理科、社会の4科目の試験で95%以上の正答率の上位成績者は、4割以上が午後9時前に就寝していました。
逆に70%以下の成績下位者では、9時前に眠る子はまったくいません。
睡眠リズム障害という病気になることも!?
人間には、生まれつき「体内時計」というものが備わっています。このおかげで、毎日同じ時刻に起きたり、眠ったりすることができます。
体の調子を整える各種ホルモンが時間に合わせて分泌されるため、気持ちよく暮らせるのです。
しかし、この体内時計は24時間よりも10分から60分ほど長いため、太陽などの時間を知る手掛かりなしに暮らしていると、生活リズムが少しずつずれていてしまいます。
私たちは毎日、体内の時計と地球の自転のずれを調整しながら生きているのです。
脳は、光をあびることで時計の周期を調整しているため、夜ふかしをつづけたり、食事時間が不規則になったりすると調整がきかなくなります。
体が時間を感じられなくなり、迷ってしまうのです。こうした状態を、概日リズム睡眠障害(睡眠リズム障害)といいます。
リズム障害になると、どうしても昼頃にならないと起きられなくなってしまいます。
また、人によっては、早い時間に眠くなって暗いうちに目覚めてしまったり、眠る時間が毎日ずれてしまったりします。
社会生活が困難になります
睡眠リズム障害になると、朝起きようとしても起きられず登校や出社ができなくなります。
無理して起きれば、眠気が抜けず、強い倦怠感におそわれてやる気がおきません。頭痛がしたり、食欲がなくなったりすることもあります。
本人はなんとかしたいと悩んでいても、周囲からはただの「怠け者」にしか見られません。
その結果、精神的に落ち込んだり、不登校になったり出社拒否になったりすることもあり、ひどいときには、うつ病を引き起こすこともあります。
平成24年度に行われた「都立高校中途退学者等追跡調査」によれば、高校中退者の多くが、生活のリズムが乱れてしまったことが中退の原因のひとつと答えています。
パソコンやスマホ中毒などが原因です
夜遅くまで、PCやゲーム、携帯電話の画面を見ていて夜ふかしをつづけたり、休日になるといつまでもだらだらと寝てしまうような生活が原因のひとつです。
太陽によって体内時計は調整されるので、部屋にこもりっきりで日光に当たらない生活をしているのもよくありません。
夏休みに昼夜逆転生活をしたり、受験勉強のために夜遅くまで起きていたりすることも発症の原因です。
治すには病院に相談するのが一番です
社会人になって自然に治るケースもあります。軽いうちであれば、夜ふかしをやめて起床時間を決める、朝おきたら太陽光を浴びるなどによって改善できます。
参考記事:朝日を浴びるとなぜ健康になるのか?~夜型人間は損をしています!
ひどくなると独力で治すことは難しいので、深刻化しないうちに専門医に相談するのがよいでしょう。
カウンセリングで生活リズムを整えたり、太陽光の代わりに専用ライトを浴びる治療法などがあります。
メラトニンという睡眠ホルモンを使う方法もありますが、日本では売られていません。海外サプリメントを輸入している通販会社から購入すれば、手に入れられます。
日本人は世界一、眠らない国民だそうです。大人も子どもも、しっかり眠るようにしなければいけませんね。
by 水の
スポンサーリンク