時計デザイナーのアートな世界 ~時計というより美術品かオブジェです
彼らの手がけた掛け時計は、時計というよりはもはや美術館のオブジェに近いものです。
時計に興味があろうとなかろうと、そのアイディアやセンスの斬新さには驚かされます。
ここではそんな掛け時計のデザインで、世界でも特に有名なアーティストたちを紹介します。
ジョージ・ネルソン(George Nelson)
ジョージ・ネルソンは、「ネルソンクロック」と呼ばれる個性的なデザインの時計を次々と生み出しました。
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そして、時計だけではなく家具のデザイン全般でハーマン・ミラー社を牽引し、この会社を世界的な家具メーカーにしたことでも知られています。
ネルソンクロックにはよく知られているスタイルがいくつかありますが、それらの一部を紹介します。
■サンバースト・クロック
サンバースト、つまり「太陽が燃えている」ということですが、その名前の通り、太陽をモチーフとしたデザインです。
実際に画像を見ていただくと、見覚えのある方が多いでしょう。↓
このように、掛け時計というよりも壁に掛けるインテリア作品のようなデザインになっています。
時計だけでなく、すべてのアイテムをこうしたデザインで揃えると、家の中が美術館のようになりそうですね。
ネルソンが時計だけでなく、家具のデザイン全般で支持されていた理由も「ネルソンのグッズで揃えて、家を美術館にしたい」と思った人が世界にたくさんいたからでしょう。
■ボールクロック・ウォルナット
ボールクロックは名前の通り「ボールがついた時計」です。
これも画像を見ていただくとわかりますが、1~12のすべての位置に、数字ではなくボールがついています。
これも子供のおもちゃをインテリアにしたようなデザインで、時計というイメージを大きく変えてくれるアイテムです。
配色次第でシックになったりキュートになったりするのも面白いですね。
■アイ・クロック
これは「目の形の時計」です。
時計全体は人間の目になっていて、黒目の部分が時計の文字盤になっています。↓
若干シュールなデザインですが、奇抜なものを求める方にとっては格好のアイテムでしょう。
なお、2つの目玉がぐるぐるするタイプの「アイクロック」も画像検索の中に出てきますが、これはネルソンのものではありません。
(このデザインも面白いですね。笑)
■タービンクロック
これは機械の部品のタービンをモチーフにした時計です。
見ての通り、サンバーストクロックとも似ていますが、サンバーストのように三角形の向きが均一になっていません。
例えていうなら手裏剣のように一方向に流れる形で配置されているので、サンバーストよりもさらにシャープでエッジの効いた印象を与えます。
このように、数々の個性的な時計を生み出したジョージ・ネルソン。
掛け時計一つでも、これだけいろいろなアイディアやデザインを生み出せるのだというのはとても驚きです。
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アントニオ・ザッカレラ
アントニオ・ザッカレラはイタリアのデザイナーで、地中海や動物をモチーフにした作品で知られています。
彼の場合はネルソンのように「時計の形状」によって有名なのではなく、どちらかというと「絵柄」によって有名です。
ネルソンの時計が「建築」だとしたら、ザッカレラの時計は「絵画」といってもいいくらい「時計に描かれている絵」がポイントになっているのが特徴です。↓
デニス・チャン
デニス・チャンは香港やロンドンを本拠地に活動するデザイナーです。
97年の香港返還の際に、政府要人に贈る時計をデザインするなど、正統派のデザインもさることながら、画像のような可愛らしい時計もデザインしてます。↓
上の画像検索の上部に出てくる猫とウサギの時計は「スイング・スイング」というシリーズです。
振り子時計なのですが、振り子の部分が動物のしっぽになっているという可愛らしいデザインです。
オリバー・ヘミング
オリバー・ヘミングはイギリス人のデザイナーで、シンプルかつ近未来的なデザインをするのが特徴です。↓
見ての通り、モノクロを基調として、それにアクセントとしての赤を添えるというデザインが主流となっています。
文字盤の数字が「6」だけだったり「2、6、10」だけだったりと、「あえて少しだけ数字を入れる」ことで、数字を全部なくす時計よりも斬新な印象を与えています。
また、数字の向きが斜めになっているデザインも有名です。
普通の文字盤の数字はすべて正しい向きで並んでいますが、それを「お互いに追いかけっこ」するような形で、反時計回りに並べるというデザインです。
ロス・ミクブライド
アメリカと日本を拠点に活動するデザイナー、ロス・ミクブライド。
彼のデザインで最も有名なのは、「TIME PIECES WALL」というものです。
見ての通り「文字盤の数字が1つだけ、穴から見える」というデザインになっています。
「時計の針が回る」のではなく、針の部分だけ「穴の空いた丸い板」が文字盤の上を回るのです。
つまり、普段は文字盤の数字はこの「丸い板」によって隠されているのですが、その時間の数字だけ、丸い板の穴から見えている、というわけです。
この禅の静けさを思わせるような独特のデザインは、彼がロサンゼルスで培ったエッジなセンスと、日本で養ったミニマムな(無駄を廃する)世界観との融合と評価されています。
「文字盤の上を穴あきの板が回る」という発想はまったく斬新で、これには筆者も衝撃を受けました。
このように、世界的に知られているデザイナーによる掛け時計は、独特なものが多数あります。
このようなオシャレな時計そのものにはあまり興味がない人でも、デザインやアイディアの参考として、ぜひチェックしたいものですね。
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