半沢直樹も真っ青!バブル時代の都市銀行員たちのイカれぶり
1980年代後半に始まったバブル期。その火付け役となったのは都市銀行でした。
当時の都市銀行はエリート集団で、行員は一流大学を優秀な成績で卒業したエリートだらけ。しかし、そんな人たちがやっていたことは、今では「コンプライアンス違反」とされるようなヤバイ仕事がとても多かったのです。
バブルは、エリートたちが「裏技」を競い合って金を稼ぐことが「善」とされる時代でした。当時、損保の社員として彼らと一緒に働いたときの、「スゴイ」仕事ぶりの一端を暴露します!
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都市銀行員はエリートばかりでした
「都市銀行」という名称は死語となりつつあるようで、最近では「メガバンク」と呼ぶのが普通のようです。合併などによって規模ははるかに大きくなりましたが、「都市銀行」と呼ばれていたころの方が社会的な尊敬度はずっと高かったように感じられます。
働く行員たちのレベルは高く、特に本店や大都市の「母店」には、一流国立大学出身者が数多く配属されていました。当時私と仕事上で付き合いのあった某都市銀行の行員たちも、東京大学を始めとする名だたる大学の出身者ばかり。たまたまかも知れませんが、私の接した中には私立大学の出身は一人もいませんでした。
「今週中に給与口座300人分作ってほしい」と頼まれました
ある時、仲の良い都市銀行の課長が訪ねてきて、「給与振込口座のキャンペーンをやっているので協力してほしい」と頼みに来ました。私の給与振込口座を彼らの銀行に変えてくれという依頼なのかと思いましたら、まったく違いました。「300人分作ってくれ」というのです。そんなにできるはずがありません。即座に断りましたが、「大丈夫、裏技があるから」というのです。
彼の依頼は「架空口座の作成」でした。内容はこういうことです。
1.適当な住所氏名を使って300人分の普通預金口座を作る
2.その口座に、会社名義で今月末にそれぞれ5万円ずつ送金する
3.来月も同様に5万円ずつ送金する
当時は銀行口座の作成に身分証明書は必要ありませんでしたので、他人名義の口座がいくらでも作れたのです。
300人分の口座を一日で作りました
その頃の損保のオフィスには三文判が山ほどあるのが普通で、私のところには1000人分の印鑑がありました。印鑑が押されていない申込書に適当に押したり、勝手に訂正印を捺印するためです。これを普通預金作成に使いました。
社員名簿から300人を適当に選び、普通預金の申込書に私が一人で書き写して、捺印をします。本人の承諾は取っていませんので、キャッシュカードを含めて何らかの書類が本人に届くと困ります。それは銀行側がすべて止めました。
口座にはそれぞれ「1円」だけ入金します。費用は300円。これはあとで全て出金して返してもらいました。これで口座は完成です。しかし、「給与」が振り込まれないと「給与口座」にはなりません。そこで奥の手です。
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5万円を300回転させて1500万円を作りました
「会社名義で5万円以上の振り込みが2ヶ月続けてあれば給与振込口座とみなす」というのが銀行の社内の定義だそうで、300人の口座それぞれに5万円を振り込まなければなりません。しかし、5万円×300人=1500万円ものお金を私はもっていません。すると、行員が「5万円で結構です」というのです。
ある人に5万円を会社名義で送金した後、すぐに出金して別の人に送金する。印鑑は手元にあるので出し入れは自由にできるのです。これを300回繰り返せば、全員に会社名義の送金ができることになるのです。これを2か月続けて実行して、「300人分の給振口座」の作成に成功しました。
見返りは保険契約
こういう「お手伝い」はボランティアでやっていたわけではありません。協力する見返りとして、保険契約で返してもらっていました。銀行の融資先に保険を押し売りして、私のいた保険会社で契約させるのです。火災保険や積み立て型の傷害保険などを「バーター」でもらうことで、銀行との美味しい商売が成り立っていました。この程度のことに協力すると、私の月の予算ができるほどの「見返り」がありました。
クレジットカードを5000枚作る!?
もっととんでもない依頼もありました。クレジットカードを5000枚作って欲しいという依頼です。さすがにこれは独りではできません。同僚社員に協力をしてもらい、親戚縁者さまざまな人の名義で作成しました。ただし、カードは自宅に郵送されますので、今回は本人の同意なしでは作れません。
1家庭に4人としても1000家族以上に頼まなければなりません。なかなか大変です。しかし、ここでも、銀行員から貴重なアドバイスがありました。「本人確認は電話連絡だけですので……」と。
郵便物が届きさえすればどんな名前でも良いということです。実際に存在しない人でも構わないわけです。こうして一家族に20人、30人いる家庭をどんどん作ってしまいました。
本人確認の電話で、とんでもないことが……
その頃は、クレジットカードを作るとカード会社から自宅に本人確認の電話がありました。適当な名前で作っているので、電話に出た人が「はい、私です」と答えてくれればOKです。しかし、あるとき大失敗が……。
カード会社からの電話に出たのは、事情を知らないおばあさん。「○○カードですが、△△さんいらっしゃいますか?」との問いかけに、おばあさんは「はあ、いますけれど、ちょっと出るのは難しいんです。うちの犬ですから」と答えてしまったのです。
後日、銀行員から「犬だけは勘弁してください」と頼まれました。
こうした強引でハチャメチャなことは日常茶飯事。どうしたら銀行本部の定めたノルマを簡単にやっつけられるかを考えるのが、エリートの仕事でした。頭の良い人たちの考えつく「裏技」はとても大胆でユニークだったので、当時の私にとっては勉強になりました。
この延長線上に、とてもラフな不動産担保融資があり、それがバブル経済を生み出し破綻させたのは言うまでもありません。バブルは、エリート銀行員たちが頑張り過ぎて作り出したものだったのです。
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