ヘッドハンターからある日突然あなたに電話!~俺ってそんなに優秀?
ある日突然、仕事中にかかってきた電話で「ヘッドハンティング会社です。会ってください」と言われたらどうしますか? 「何で私に?」と不思議に思われる人もいるでしょうけれど、少しは嬉しい気持ちになるものではないでしょうか?
たとえ転職するつもりなど全然なくても、興味が湧いて会ってみようとする人は少なくありません。
かつて私は、ヘッドハンターとして活躍していたころに、何度もこうした電話をかけて大勢の人にお会いしました。じつは電話をかける時点では、相手のことをほとんど知らないことが多かったのです。ヘッドハンターのスカウト手法について裏話を暴露します。
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人材のサーチはとても大変な作業です
ヘッドハンティングの仕事においてもっとも難しいのは、クライアントの希望にマッチした人材を探し出すことです。よい人材を数名みつけられれば、仕事はほぼうまくいきます。しかし、「すばらしい人材がここにいます」と誰かが教えてくれるわけではありませんし、どこかに書いてあるわけでもありません。
クライアントの案件によっては、ひそかに探さなければならないものもありますので、ネットなどに公開するわけにもいきません。かりに公開したとしても、優秀な人材の方からアプローチしてくれる可能性はごくわずかです。
人材探しはとても苦労をともないます。人材のサーチは、ヘッドハンターにとっての生命線ともいえるのです。かんたんな方法はないので、とても地道な作業をします。
何と、人材はネットで探す!?
いったいどうやってみつけるのかというと、とても原始的。もっとも一般的な方法は「ネットで探す」ことです。たとえば、ある企業から「株式公開の実務経験のある経理部長クラスを探してほしい」という依頼を受けたとします。
すると、過去に株式公開した企業のホームページを見たりして、経理のマネージャーの名前を拾い出します。
個人情報をネットに流通させないようにガードする企業が増えたため、人の名前を見つけるのは難しくなりました。会社のホームページになければ、検索エンジンに「株式公開 経理部長」などと打ち込んで、ヒットしたページを次々と開いて名前があるかどうか調べたりもします。
運よく見つかることはまれです。一日中ネット検索をしなければならないこともあります。ヘッドハンターは意外と地味な仕事です。名前がわかれば、あとはその会社の経理に電話して、ターゲットにコンタクトをはかります。
地道な作業をくりかえしても、わかるのは名前だけ
ネットで名前を見つけただけですので、どんな人なのかはわかりません。優秀かどうかも、学歴も実務経験も資格も年齢も、クライアントの希望に合うかどうかもわかりません。名前だけでは性別すら判断できないこともあります。確認する方法がないので、会って確かめるしかありません。
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どこのハンティング会社にも、「高度なリサーチ部門」などありません。とても単純な方法で人探しをしています。ネットで見つからなければ、本屋で雑誌を立ち読みして、めぼしい人が載っていたら書きとめたりするなど、やっていることはとても地味です。
どんな人なのか知らないのに「優秀だとお聞きしまして」と電話する!?
ようやく名前を見つけて電話をしても、取り次いでもらえなかったり、コンタクトはできても会ってはもらえなかったりします。10人の名前を見つけても会えるのはせいぜい2~3人。お会いしてみると、ぜんぜんクライアントのニーズに合わないというケースもよくありますし、相手に興味を持ってもらえないこともあります。
はじめて電話でコンタクトするときには、「あなたがとても優秀な人だと聞いたから」などと語って会ってもらえるよう口説きますが、実際には30代なのか40代なのかすら知らないことが多いのです。
電話口の声のトーンなどから判断して、クライアントのニーズに合いそうにない年齢だと判断すれば早々にこちらから切ってしまうケースもあります。40前後だろうと思ってお会いしたら、60代だったということもあります。
人脈を生かせる人は仕事ができる
とにかく数多く会わなければならない仕事です。特定の業界内に人脈を持っていれば、ツテをたどって人探しができますので有利です。活躍しているヘッドハンターの多くは、そういう人たちです。過去のキャリアから業界内にある程度の知人を持っている人は、それを活用して人探しをしています。
人脈作りのために、自ら交流会のようなものを主催する人もいます。ビジネス交流会と称して業界人を集めて定期的に飲み会をして人脈を広げていくのです。とても手間と時間がかかる根気のいる戦略ですが、これで成功している人も中にはいます。
ヘッドハントされても、それほどビックリすることはありません
ヘッドハンターは相手のことを何も知らないで電話をかけることが多いです。優秀なのかどうかは会ってから探りますし、クライアントのニーズに合うのかどうかもあとから判断します。
ある日突然、「スカウト」されても驚くほどのことではありません。あなたの名前がたまたまネットでみつかっただけ、という可能性が高いのです。できれば、興味本位で会ってあげましょう。
By 水の
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