統合失調症患者の心理社会的療法SST(社会生活技能訓練)とは?
統合失調症の治療には、投薬治療と心理社会的療法の二つがあります。
前者は症状を抑え再発を防ぐために、後者は生活機能を改善させ社会復帰を促進していくためになくてはならないものです。
心理社会的療法にはさまざまな種類がありますが、その中でも一般的なのはSST(社会生活技能訓練)と呼ばれているものです。ここでは、これについて詳しく説明をしていきましょう。
どういう訓練をするのか?
これは、集団の中で日常生活のロールプレイ(演技)を行いながら、適切な生活を送ることができるように訓練していく方法です。
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基礎となっているのは「認知行動療法」と呼ばれるもの。自分の考え方に注目して、いつもとは違う考えに基づいて行動をしてみる。それを通して成功体験を培い、正しい認知・行動ができるように訓練するという方法です。
この方法は、うつ病に対しても用いられる治療法で、統合失調症のさまざまな症状にも対応することができる方法として注目されています。
どんな効果があるか?
社会生活技能訓練を適切にこなしていくことで、再発率が低くなり、社会コミュニケーション能力も向上の兆しを見せることが分かっています。
家族は、SSTを早い段階から導入して、できるだけ正しい方向へ導いてあげることが大切となります。もっとも、急性期の段階で他人と接するのはあまり好ましいことではないので、医師と相談をしながらリハビリを行っていくようにしましょう。
基本的に治療・リハビリに関することは、すべて医師にも伝えて助言と相談の下で実践していくことが大切です。
病院で実施されるデイケア
心理社会的療法は、自立を促していくためにはなくてはならない治療です。その中でもSST(社会生活技能訓練)は、認知のゆがみを修正して適切な状態に近づけていくための重要な方法です。
病院でも実施しており、その中核を担っているのが「デイケア」です。病院のほか、保健所などにも併設されており、さまざまなSSTが実施されています。家族会や市町村主催の講演会などでも受けることが可能です。
このようなシステムをフルに活用してリハビリを行っていくことが大切となります。集団で実施するリハビリ方法ですから、社会復帰・社会参加の一種として捉えることもでき、本人の自信につながります。
デイケアで出会ったほかの患者さんと、励ましあいながら急激に回復を果たした。このようなケースも報告されているのです。
訪問看護という選択肢も
ただ、症状が落ち着いたとしてもSST(社会生活技能訓練)を受けられない患者もいます。引きこもりが長期間継続している場合や、能力の低下・陰性症状がいまだに強い場合などがその典型でしょう。
参考記事:統合失調症で沈黙や引きこもりがちな子供に親はどう対応すべきか
このような場合、訪問看護と言われる制度が役に立ちます。医療機関からソーシャルワーカーや看護師がやってきて、リハビリを行ってくれるというものです。これを実施している医療機関はだいぶ増えてきたものの、まだまだ完璧とは言いづらい状況です。
通院している病院で対応してもらえない場合などには、NPOなどが実施しているサービスを利用するようにするといいでしょう。
ちなみに通院している病院から訪問看護を派遣してもらった場合には、保険を適用することができます。このようにいろいろな方法を駆使してリハビリを行っていくことが大切なのです。
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