統合失調症だという病識があるときとないときのそれぞれの対応
家族が闘病生活を送る上で、もっとも最初に直面すること。それはおそらく、本人が治療を嫌がるということではないでしょうか。
統合失調症にとって最も特徴的なのは、本人に病識(病気だと言う認識がない)がないことです。病院に行くのを必死に拒む方も少なくはありません。
このような場合には、ときには強制入院をも視野に入れて対応をしていく必要があります。しかし、あまりに強い態度で出るのも問題です。
参考記事:統合失調症の治療は入院が必要なのかそれとも通院でいいのか
基本的には相手の立場を十分に尊重した上で、根気づよく説得をおこなっていくことが大切となります。
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患者本人の自覚
統合失調症の特徴は、症状が進行すると自分が異常だということを自覚できないという点にあります。しかし、すべてがこのような症状が出るとは限りません。自分自身で正常じゃないことに気づくことができる方もいるのです。
このような場合には、比較的治療をスムーズに進めることができますので、とりあえず家族は喜んでいいでしょう。
ただ、病識さえあれば問題なし、というわけにはいかないのが現状です。
病気だという意識があっても落とし穴もある
病識があるからといって、治療の効果自体が劇的にアップするわけではありません。むしろ自分の異常さゆえに鬱傾向がはげしくなってしまうようなケースもあるようです。
このような場合には、統合失調症についての説明をして「病識があるのは良い傾向なんだ」ということを悟ってもらうことが大切となります。
また、病気が治ったと勘違いしてしまうようなケースも見落とすことはできません。薬の力で症状が抑えられているだけなのに、すっかり元に戻ったと判断して服用を勝手に中断してしまうこともあるのです。中には自力で治すことができると思い込む患者もいます。
参考記事:統合失調症の患者はなぜ服薬を自己判断で中止してしまうのか?
このような場合には、医師にきちんと病気について説明してもらうようにすると良いでしょう。もしも服用をやめた場合には、再発するリスクも格段に高まってしまう。このようなことを知れば、病識があるような患者だとしたら比較的真剣に治療に取り組んでくれるはずです。
病識があるとはいえ、統合失調症は非常におそろしい病気です。正常に近いだけで、「病気の状態ではあるんだ」ということをしっかり認識しておきましょう。
実際に起こりうる家族も気がつかない行動
より厄介なのは、形の上では治療に協力しているように見えるけど、実はそうではないという場合です。
服用治療を一切拒むわけではなく、数日間飲まないような行動をとることもあります。また、半分しか飲まなかったり、実は飲み込んでいなかったり・・・このような対応に関しては、一緒に暮らしている家族といえども気づくことができない可能性が高いのです。
薬を飲んでいるのにあまり変化が見られない。そういった場合には、まず主治医に相談をするようにしましょう。
そして、薬をやめた際の再発リスクなども含めて、丁寧に説明して本人に理解してもらうことが大切です。服薬治療は、家族の目から見ても相当つらいものです。副作用によって、一見して異常とわかるような動作をとってしまうこともあります。
このような部分を受け入れながら、それでも治療を継続していくという強い意志を持っていくことが大切です。
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