統合失調症患者に見られる破壊的な行動とその主な原因
統合失調症と言いますと、感情的になって破壊的な行動をとるイメージを持ってる方もいるかもしれません。
たしかに、このような症状を見せる患者さんもいます。しかし、患者全体の中で見るとこのような状態を見せるのはごく一部です。
統合失調症患者だったらすべてが乱暴で攻撃的なわけではないということをまず理解しておいてください。
ある調査によると、破壊的な行動をとったことがあったと回答したのは40%程度、直接暴力をふるったのは10%前後でした。
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なぜ乱暴な行動をとってしまうのか
・妄想や幻覚・幻聴によるもの
では、一部の人が破壊的な行動をとってしまうのは、なぜなのでしょうか。
決してそういうことを好んで行うわけではありません。統合失調症になってしまいますと、患者さんはさまざまな不安や緊張を感じ苦しんでいます。
妄想や幻覚・幻聴、それに対抗しようとして暴れることがあるのです。
参考記事:統合失調症でもっとも多い症状である幻聴と幻覚の分類及び特徴
このほか、どうしようもない不安を感じて、それがつい行動に出てしまうようなこともあります。
場合によっては、家族が本人を全否定するような言動をとったことがトリガーとなることもあるようです。
ご家族としては、やはり本人の不安を助長させるようなことを行わないことが第一となります。
決して統合失調症患者さん全体が暴力的というわけではなく、むしろ少数派です。しかし、それでも攻撃的な症状が出てしまう可能性は否めません。
そのような中、様々な犯罪にまで発展してしまう可能性もあるのです。
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・薬の副作用によるもの
また、症状の悪化が暴力の一因となっていることは統計上明らかです。これを少しでも抑えるためにも、薬の服用を適切に管理していく必要があります。
場合によっては薬の副作用によってストレスが生じていることもあります。
このあたりを検討するために、医師に相談をするようにすることも忘れないようにしたいものです。
治療の方針を決定していく上で、本人の日常的な態度というものは非常に大切になってきますから。
妄想により加害者となってしまうケース
急性期には、何者からか監視されているというような妄想を抱いてしまいます。被害妄想にとらわれた幻聴なども良くある症状です。
そのような状況の中、通りすがりの通行人に対して「おまえもあいつらの仲間だろう」「今ガン付けただろう」などと言いがかりをつけて殴りかかってしまうようなケースもあり得ます。
このような場合には、暴行罪・傷害罪の構成要件に該当してしまいかねません。
病気が原因の場合には逮捕されるわけではなく、措置入院という形で入院治療を受けることになることが多いようです。
判断力低下で被害者となってしまうケース
病状の中には判断能力が衰えてしまうというものも存在しています。このため、詐欺や暴行などの被害者となってしまうケースも報告されています。
特に女性患者の場合には、病院への行き帰りなどには十分警戒をしてあげるようにしたいものです。
夜道は避けるというような配慮も必要となります。
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