東京マラソンに体重80キロオーバーのおデブが挑戦してみました!
暖かい季節がやってきました。夏へ向けて少しでもダイエットしなくては…そんな理由でジョギングを始める人もいるかもしれません。80キロ以上を超えるおデブな筆者もその口です。
でも実は僕、2012年の東京マラソンに出て完走しているんです。
うそ!?と思う方は、以下より体重80キロオーバーのおデブが東京マラソンを走りきった感動の(?)ドキュメンタリーをご覧ください。
なんでこんなに太っちゃたんだろう、とラーメンを食べながら思う反省のなさ
▲夜中にラーメン食べつつ東京マラソンのことを考えてました。
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27歳の時に52キロまで落ちた体重が42歳の現在80数キロという、別人のような自分にあきれ果て、なんとか体重を落とそうとジムに通っていた頃です。
当時勤めていた会社から「出れば?ていうか出ろ」という謎の業務命令(?)が。一日座っているデスクワークをしている会社の癖に何を言ってるんでしょうか。
東京マラソンで走るには登録料として1万円を払わないといけないといいます。フルマラソンなんて苦行にさらに1万円て!?なんのイジメ!?でもまあ、東京マラソンは3万人の参加者に応募するのは数10万人と言いますから、そんなとんでもない倍率で当たるはずがありません。
ところがこれが当たってしまったんですねえ。普段は宝くじを買っても一切当選しない男がこういう時に無駄に運を使ってしまうことはよくあるお話。落選した方には申し訳ないのですが、本当に渋々走ることとなりました。
ジムではとりあえず頑張っていましたから、基礎体力はあったのかも?
▲ジムには意外と真面目に通っていたんです。
「東京マラソン2012」の出走日は2月26日(日)。参加が決定したのが秋口でしたから、充分準備期間はあります。東京マラソンのルールは他の大会と違い多少緩いようで、完走とみなされるのは42,195kmを7時間以内に走破出来れば良いとのこと。
ということは、時速6kmで走ればだいたい7時間でゴールできるわけです。とりあえずジムのランニングマシンはそのペースで走りました。
室内で走るのと路上を走るのではもちろん違います。でも外で走るのは3ヶ月前からで良いかな~と思いつついつの間にか年が明け、あっという間に2月に。
ま、まずい、本当に全く走っていません!ランニングマシンでさえも10キロ程度しか走っていない(しかもバラエティ番組を見ながら)自分がフルマラソンに出るなんて、さすがに自殺行為です。
東京マラソンに出場が決まってからというもの、会う人ごとに、「本当に、倒れたりしないでよ」と真剣に心配される始末です。それもそのはず、一見してなんの努力もしていないのが丸わかりの体形なんですから。
しかし出るからにはなんとか完走したい。そこで直前の2週間前、ようやく長距離を走ることにしました。
いろんな市民ランナーが走る雰囲気は気持ちが盛り上がります
▲駒沢公園はサイクリングとジョギングのコースが分かれてます。
場所は駒沢公園。到着すると多くの人がトラックを走っています。みなさん東京マラソンに出る方ばかりの雰囲気です。真剣に調整しているんですね~。当たり前ですけど。
服装は近所のスポーツ用品店で購入した、ランニング用のタイツにジャージです。結構高かったですから元を取らねば!トラックは1周2キロ程だったと思いますが、そこを6、7周ほど走ってみました。「あれ?結構イケるじゃん!?」
普段ちょこちょことジムで走っていたせいか、何故かそれほど辛いとは感じませんでした。
ところが翌日、膝が痛くてたまりません。やはり思い体重を支えているわけですから、膝に負担が来て当然です。なんだか駅の階段の登り降りも苦痛になってしまいました。
明日のことを考えてほとんどまともに眠れず
▲いざ、出陣!でも不安…
そんな状態ですが、出場ランナーは東京ビッグサイトまで登録とゼッケンを取りに行かなければなりません。正直気分は盛り上がるどころか憂鬱です。
自宅に戻り購入しておいた栄養補給用のゼリー数種類、飴、ペットボトルが入るタイプのウェストポーチなどを用意して、早めに就寝。
ところがやはり緊張しているのでしょう、布団に入っても全く寝付けません。それどころか目がどんどんさえてきます。結局、ほとんどうとうと寝付けないまま朝5時を迎えてしまいました。
始発に近い程早い電車で、一度都内のホテルに荷物を置きに立ち寄ります。というのも、翌日仕事があるため、一度帰ってから出社するのは体の状態を考えると無理があると考えたのです。
新宿都庁付近は大混雑ですがあんまり早めに行くのも寒いのでおすすめしません
▲花の都大東京にランナー集合!
ランナースタイルに着替え、少しおにぎりなどを食べて新宿都庁付近に到着しました。現場では荷物を預けるクローク的なものがあり、大きなビニール袋に荷物を預けます。その際に気をつけたいのが天候により上着が必要な場合もあることです。
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この日は薄曇りで、結局一日そのままだったのですが、迷った末に長袖シャツの上にゼッケンを張り付けたTシャツを着ました。下はタイツと短パン、寒さ対策に手袋をして、帽子とサングラスを装着して準備完了です。
僕のゼッケンは4万番台ですが、これはマラソン初心者を表しており出走順も一番最後です。9時10分、スタートの号砲がかなり遠くで鳴り響き「東京マラソンスタート!」しかし一向に動きません。ようやく動き出したのが20分ほどすぎた頃。早くもハンデ!
出走前はなんとなく楽しくなってきちゃいました。でもスタートまで20分待ち
▲こんな格好で走りました。結局ずっと寒かったです。
ようやく真のスタート地点に差し掛かると、時の東京都知事、石原慎太郎が手を振っています。思わず写真を撮ってしまいました。走り出すと雨具を投げ捨てて行くランナーが多く、足を取られて転倒しそうなります。
最初は靖国通りを抜け飯田橋あたりまで。普段車がビュンビュン走る通りを走っているのがなんだか不思議でした。そのまま内堀通りに入ります。このあたりで早くも一度トイレで小便タイム。余裕のあるうちにしておかないといけないと思ったのです。
スタートしてからしばらくは余裕無しです。景色も覚えてない!
▲スタート地点ですが、ご覧のように既に20分経過しています。ハンデありすぎ!
正直、前半は景色を見ている余裕がほとんどありませんでした。ただ、沿道にいるボランティアスタッフとやたらとハイタッチして走ったのは覚えています。あれ、なんだか嬉しくなるんですよね。もちろん給水もマメにしていました。
日比谷に入ったあたりでしょうか、10キロ以上過ぎここからは自分が経験したことがない距離です。この辺から猛烈に膝が痛くなってきました。もうほとんど折り曲げられないのではないかというほどです。足も縁石に上げられないほどです。
正直リタイアも頭に浮かびましたが、まだ10数キロ地点です。5キロごとに関門があり、そこを既定のタイムで通過できないとそこで失格・終了になります。とりあえずだましだまし走り関門を目指します。足がほとんど曲らないので、ロボコップ状態です。
そんな状態の僕をしり目に走って行く中にはさまざまなコスプレランナーがいます。ヒーローもの、ゆるキャラ風、結婚式の衣装で手を繋いで走る男女など。その中でも東京マラソン名物、十字架を背負ったキリストとすれ違った時にはさすがに元気が出ました。
キリストさまはザ・チャンバーズというバンドのボーカルなんです。ライブ見たことあります
▲いまや名物となったキリストさま。他にもさまざまなコスプレイヤーがいました。
一度折り返し来た道を戻り20キロ地点へ。なんとか関門はクリアです。ここまできてもまだ半分。なんとか走り続け銀座に到着です。銀座の街中に入ると沢山の人が沿道に並んで一気に華やぎます。というか、かなり照れくさいです(笑)。
ここでアクシデントが発生しました。ふと我に返ると首に巻いていた忌野清志郎「完全復活祭」で“快気祝い”で配られた手ぬぐいがありません!どうやら途中で落としたようです。しかし今更探せるわけがありません。この時は心が折れました、はい。
しばし呆然としながらなんとかヨチヨチ歩きのように走り続けて目の前を見ると、浅草雷門に到着しました。突き当りを右に曲がるとみんな立ち止まって携帯を上に構えています。「おぉっ!」そこにはデーンと構えるスカイツリーが。しかし写真を撮る余裕は無し。
ここらあたりで30キロ程度。「もしかして完走いけるかも!?」と思い出しました。足は痛さを越えて、ほぼ麻痺状態です。すり足のように足を浮かせずに進みます。そんな僕にも沿道の人々が「がんばってー!」と声援を送り、飴やチョコを差し出してくれます。
よく「沿道の声援が力になりました」っていいますよね。本当にそうなんです。歩いていても声を掛けられると、よし頑張ろうという気持ちになるんですよ。それにもらったチョコの美味しさったらないです!翌日からしばらくチョコばかり食べたほどです。
築地あたりで35キロ地点をなんとかギリギリ越えると、ボランティアスタッフが「ここからは歩いてもまだ時間内にゴールできますよ!」と叫んでいます。おおっ!そうなのか!と完走に自信が出てきました。
橋を渡り、いよいよ豊洲へ入ります。この辺りは消耗しきって歩いていました。そこに「みんななんで歩いてるのよ!?せっかく出たんだから走りなよ!」と怒鳴り散らしているボランティアスタッフらしき女の子が。
普段こんなことを言われたらムカつくんですが、不思議と「そうだよな…」と納得してトボトボ走り出す人多数。こういうマラソン心理の面白さは所々で感じました。
40キロが過ぎあとは真っ直ぐ進んで右に曲がればゴール、という所でトボトボと苦しそうにうつむき加減で走る小さいな背中が。ふと横に並んだ時に顔を見てみるとなんと、時の副都知事、猪瀬直樹さんではないですか!?
隣にトレーナーらしき男性を付けているとはいえ要人がこんな無防備で良いのかなと思いつつ「猪瀬さん、あとちょっとですよ頑張りましょうよ!」と声を掛けると「ああ~?俺はもう疲れたよ…」と息絶え絶えで答えてくれました。
ついにゴール!ギリギリ完走を達成です!やったー!!
▲これがメダルです、完走メダル(ドヤ顔で)。
猪瀬さんを後に、目指すは東京ビッグサイトです。ゴール前はなんとか気力を振り絞り走ってゴール!時間にして6時間40分、本当にギリギリでしたがなんとか完走できました。自分がフルマラソンを完走できるなんて!もの凄く感激しました。
完走メダルをかけてもらい、着替えてそそくさと都内のホテルに戻る途中横断歩道の途中で見知らぬ方に「お疲れ様でした!」と声を掛けてもらったことでなんだか疲れが癒されたことを覚えています。
翌日からしばらく、足の曲げ伸ばしが出来ず階段を降りるのに物凄く苦労しました(登りより降りるのが辛いです)が、終わってみれば「また出たい!」と思いました。是非あなたも来年の東京マラソンに応募してみて下さい!
文・okamoto
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