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なでしこジャパン~全日本選手権から世界初のプロリーグへの軌跡

2014.03.04

なでしこジャパン~全日本選手権から世界初のプロリーグへの軌跡 はコメントを受け付けていません

前回は、日本女子サッカーの初期の歴史を紹介しました。

この記事では、全日本選手権が開催されるようになった、後期の歴史を紹介します。

全日本選手権の翌年、人口が2倍以上に

選手権の開催で、79年には52チーム、919人だったのが、翌年には111チーム、2290人になりました。

1年で2倍以上に増えたというとになり、「全国大会がある」ということが、いかにスポーツの活性化に重要かということがわかります。

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この全日本選手権では、第2回から7連覇したチームがあります。

「清水第八スポーツクラブ」(後の鈴与清水)ですが、このチームが初期の日本女子サッカーを牽引したと言われています。

(プロ野球の歴史でいう、V9時代の巨人のようなものかも知れません)

人口は増えたものの、やはりそれぞれのチームの選手数は少なかったため、全部のチームが男子のように11人を揃えることは難しい状況でした。

なので、全日本選手権も8人制で開催されましたが、そのような工夫もあり、毎年連続で開催することができました。

世界初のプロリーグ誕生、しかしバブルで苦境へ

やがて1989年に世界初の女子プロリーグ「Lリーグ(日本女子リーグ)」が誕生します。
世界初ということで、中国やノルウェーなど海外からも多くの選手が参加しました。

当初は6チームでスタートし、91年までの2年間で10チームに拡大しました。
選手数は96年に23000人を超えるなど順調に成長していましたが、バブルの崩壊によって、一気に苦境に立たされます。

鈴与、松下、OKI、日興証券、フジタ、シロキなどのスポンサー企業が相次いで脱退したため、99年には10チームから6チームに減少。
リーグ存亡の危機に立たされます。


アマチュアと共存し、存続
このピンチを乗り切るため、Lリーグはアマチュアと共存しました。プロのチームとアマチュアのチームが一緒にリーグ戦をやるわけです。

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その後04年には、Lリーグはプロではなくアマチュアの形態になってしまいましたが、アマチュア化したことで、2部制を維持するだけのチーム数は、維持することができました。

このような苦境を経て、ワールドカップでの優勝へと続くわけです。
こうした歴史を知った上で今の「なでしこ」の活躍を見ると、より感慨深いものがありますね。

考察 ~なぜ、日本で最初に生まれたのか?~

「世界初の女子プロリーグが日本で生まれた」というのは、ほとんどの人にとって意外な事実だと思います。

なでしこジャパンがワールドカップで優勝するまで、日本にプロリーグがあることを、日本人でもほとんど知らなかったでしょう。

実際、本当の実力はともかく、2011年に日本とアメリカが決勝で戦った時も、世界の大部分の人はアメリカが勝つと思っていたはずです。

あの試合が終わった後のワールドカップでの勝率は、アメリカの.871に対して、日本はわずか.368しかなかったのですから。

(しかも、これは優勝した後の数字ですから、優勝する前はもっと悪かったわけです)

これだけアメリカの女子サッカーに対して遅れを取っていた日本が、なぜプロリーグの結成だけ世界で一番早かったのか?

その理由はおそらくビジネス的なものだと考えられます。

世界で最初に誕生したのは、日本がバブルだったから

日本の女子プロリーグ(Lリーグ)が登場したのは、ちょうどバブル景気の頃です。

その頃の日本は、三菱地所がロックフェラーセンター・ビルを買収するなど、アメリカを象徴する建物を日本の会社が次々買い取っていたような時代でした。

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という世界的ベストセラーがあったように、当時の日本企業は世界一潤っていたわけです。

その彼らが余裕資金の一部を女子サッカーに回したから、世界初のプロリーグが生まれたのだと言えます。

もちろん、当時の女子選手たちの力量がプロリーグを作るのに十分なレベルに達していたというのもあるでしょうが、やはりアメリカやドイツよりも先に生まれた理由は、バブルが一番大きいかと思います。

事実、バブルが崩壊したら、多くの企業が女子チームを手放してしまいました。

このことを考えても、プロスポーツの振興を考えるならビジネスのことも誰よりシビアに考えなくてはいけない、ということをあらためて感じさせられます。

中日ドラゴンズの落合GMがビジネスを誰より意識しているのも、そういう考え方が根底にあるからでしょう。

私たちはスポーツでも芸術などを、えてしてお金と相反するものとして考えてしまいがちですが、「いかにお金と一体化させるか」を考えることも、これらの文化を栄えさせる上で大切だということを、あらためて意識したいと思います。

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