あなたも文学を楽しんでみませんか?~純文学は意外に面白かった!
純文学と言われると、とっつきにくい、難しいというイメージばかりが先行してしまいがちです。
たしかに学問としての文学は非常に難解で、簡単に理解することができるものではないでしょう。
しかし、純粋に娯楽としても楽しむことができます。そもそも、文学はエンターテイメントの一つですので、楽しめないわけがありません。先入観を一度捨てて、純文学の世界に飛び込んでみましょう。
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エンターテイメントとして楽しむ
純文学に対してとっつきにくい、難しいというイメージを持っているのであれば、いきなり近代の名作に手を出すべきではないかもしれません。
まずは、その作品の書かれた時代背景や当時の言葉の使い回しまで理解しなければ楽しめない古いものではなく、現代の純文学作品から読んでみましょう。
現代純文学の代表的な作家と言えば、やはり村上龍です。一ページの情報力が多いので最初は読むのに少し時間がかかってしまうかもしれません。
しかし、彼の小説を楽しむために必要な情報はすべて作品内に詰め込まれています。時間をかけてしっかりと読めばその濃厚な物語を楽しむことができるでしょう。
また、村上龍は純文学的な表現技法を使いながら、同時にしっかりとしたエンターテイメント性を盛り込んでいます。なので、単にストーリーを追うだけでも楽しむことができてしまいます。
ストーリー性よりも細かな描写が重視されることの多い純文学にアレルギー反応を起こしてしまうあなたでも、村上龍の小説からであればスムーズに入り込むことができるのではないでしょうか。
セックスやバイオレンスを描くハードボイルドな作品
エンターテイメント小説の人気ジャンルの一つにハードボイルドというものがあります。純文学にこの要素を取り入れたのが花村萬月です。
あまりにもハードボイルド的な要素が強すぎたために、デビュー当時は純文学としてカテゴライズされることはあまりありませんでした。
しかし、その表現技法は紛れもなく純文学のもの。その表現力の高さは現代作家の中でもトップレベルでしょう。その技術に大胆なまでのスピードで展開して行くストーリーは圧巻です。
あまり純文学に慣れていない方は花村萬月の初期の作品から読んでみましょう。「ゴッド・ブレイス物語」や「渋谷ルシファー」、「なで肩の狐」などの初期の作品は非常にエンターテイメント性が高いものとなっています。
青春物語のような世界観を持った作品も多く、純文学への入り口として、幅広い方におすすめです。
美しい日本語表現に酔いしれたい!女流文学の王道
純文学を通じて日本語の美しさを感じたい、という方は女流文学はいかがでしょう?現代作家の中でも、もっとも美しい日本語を使いこなせる作家と呼ばれているのが柳美里です。
文学的な表現に対してアレルギー反応を起こしてしまう、という方であってもそのなめらかな日本語に触れればたちまちとりこになってしまうことでしょう。
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ストーリーには前述の村上龍や花村萬月のようなエンターテイメント性はありません。しかし、表現力が非常に高いため、自然とその世界に入り込み、楽しむことができるでしょう。
彼女の作品の中では比較的軽いタッチで描かれている「ルージュ」などは文学初心者でもさらっと読むことができるでしょう。特に女性におすすめしたい作品です。
どっぷりと彼女の魅力に浸りたいのであれば「ゴールドラッシュ」です。その濃厚なストーリーと心理描写は日本文学界の最高峰と言っても過言ではないでしょう。
この作品を読まずして現代純文学を語ることはできない、とまで言われるほどの名作です。
また、小説だけでなく「命」シリーズなどのノンフィクションやエッセイも素晴らしいですので併せて読んでみてはいかがでしょうか。
感覚で読め!パンクすぎるその世界観
独自すぎる世界観と表現技法で文壇に大きな衝撃を与え続けている作家が町田康です。元パンク歌手という異色の経歴を持つ彼の作品はとにかく強烈。はっきりと好き嫌いが別れますので、誰にでもおすすめできるわけではありません。
しかし、文学どころか世の中の常識をすべてひっくり返してしまうようなその作品の世界は一度は体験しておいて損はないでしょう。
時代劇にファックスが登場するなんてまだまだ序の口。現実と空想が目まぐるしく入れ替わったあげくに着地点は、まったく別の世界…。普通の作家が、普通の言葉を使って書いても絶対に成立しません。
町田康だから成立する物語であり、世界なのです。
筆者個人的にはこの町田康がもっとも好きな作家です。彼の作品に一度ハマってしまうともう、純文学以外のエンターテイメントがすべて退屈に感じてしまうほどです。
純文学といえば、芥川龍之介や太宰治などの近代の文豪たちの作品ばかりがイメージされてしまいがちです。
もちろん、彼らの作品はとても素晴らしいものですが、今を生きる私たちがより楽しむことができるのは現代作家たちの作品なのかもしれません。
Byチリペッパー眞木
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