ガジュマルの木の不思議と疑問~名前の由来は?奇妙な根っこはなぜ?
沖縄をはじめとして、熱帯、亜熱帯地方で広く生育している「ガジュマルの木」。
写真のように不思議な根っこをしていることで有名ですが、ここでは「なぜこのような根っこなのか?」「名前の由来は何なのか?」などの疑問について書いていきます。
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なぜ、このような根っこをしているのか?
これは「空気中から栄養素を吸収するため」と、「水分を吸ったり出したりするため」です。
空気中にある窒素などの栄養素をより効率的に吸収したり、土に「閉じ込められた」状態ではできない水分の調整を、空気中に出ることによってするというわけです。
もちろん根っこが空気中に出ただけで、必ずしも栄養が十分に取れるわけではないですし、水不足や水分過多を避けられるという保証もありません。
(たとえばずっと雨が降らなければ、根っこが中にあろうが外に出ようが、水不足は避けられないからです)
しかし、外に出ていることによっていわば「選択肢が増える」というような効果はあります。
気根はそのような効果を目指して発達したものと言えるでしょう。
■アスファルトを突き破り、他の木を締め倒す
ガジュマルの木の気根は、アスファルトやコンクリートを突き破るくらいの破壊力を持っています。
また、森の中では他の大木の幹に絡みつき、その大木を絞め殺すくらいの力を持っています。
このような姿からついた別名が「絞め殺しの木」。
植物がまるで動物のように、森の中で殺し合いを演じているわけですが、このような事実を見ると、「植物にも意志がある」ということを、あらためて感じられる気がしますね。
名前の由来は?
これは「絡まる」から来たという説が有力です。
「からまる」という音が鈍って「ガジュマル」になったというわけです。
他の説として「風を守る」→「かぜをまもる」→「ガジュマル」となったとする説もあります。
「風を守る」というのは防風林としての働きのことです。
ガジュマルは上に書いたような生命力の強さによって、防風林としても昔から活躍していたので、このような由来の説も浮かんだわけです。
(台風の多い沖縄や奄美諸島で防風林が欠かせないというのはご存知の通りです)
あらゆる用途で活躍する木
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ガジュマルは上に書いた防風林以外にもあらゆる用途で活躍しています。
まず一つ目は防潮樹。名前の通り「高波に対抗する林」です。
「天然の堤防」と言ってもいいかも知れません。
「林によって高波を防ぐ」というと、沖縄や奄美諸島のような場所に住んでいないとイメージがわかないかも知れませんが、昔からこうした地域では防潮樹は防風林と同様に必要なものでした。
街路樹や生け垣として使われる例も多くあります。
インパクトのある外見なので、街の景観や庭の景観をゴージャスにする上でも効果的ですし、街路樹の場合は日陰にもなりやすい大きさだからです。
ベトナムや台湾などの地域では、ガジュマルの街路樹を日除けにして、その下でお茶を出したりコーヒーを出したりするサービスもしばしば見られます。
このような「天然のお茶処」は、現代の日本ではほとんど見られないものなので、台湾やベトナムで見かけたら、ぜひ利用してみたいものです。
(特に寺院の中で、このような使われ方がしているようです)
■観葉植物としても人気
このような町中での観賞用に使われるだけでなく、個人の自宅での観賞用としても人気です。
沖縄みやげの植物として、幸福の木などと並ぶ人気商品となっており、全国的に見ても、おみやげの観葉植物としては、トップレベルの人気を持っていると言えます。
観葉植物にする場合、できるだけ日光に当ててあげることが大事です。
耐陰性(日陰に耐える性質)を持っているので、日陰でも枯れることはありませんが、「徒長」してしまうからです。
徒長というのはいわゆる「間延び」のことで、長細くヒョロヒョロと伸びてしまうことをいいます。
外国でのエピソード
ガジュマルは沖縄、奄美諸島だけではなく、中国南部、東南アジア、台湾などにも広く生育しています。
台湾や東南アジア、中国南部では、上にも書いたように、寺院の中に生えていて、日陰として活用されている例も多くあります。
これはブッダが修行中にガジュマルの木の日陰で休んでいたと言われるからです。
彼が修行を終えて休んでいる時、一人のバラモンが彼に真理を尋ねたなどの有名なエピソードがいくつかあります。
また、中国の福建省、広西チワン族自治区などの一部の市では、その地域を象徴する植物として、街路樹にもひんぱんに使用されています。
そのような街を歩くと、異国情緒あふれる旅がさらに、エキゾチックなものになりそうですね。
ガジュマルの木に関する豆知識は以上です。
有名な木について、このようにいろいろな豆知識を持っていると、町中で観葉植物や街路樹を見かけた時にも、知的好奇心刺激され、脳が活性化されることでしょう。
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