ファンダメンタル投資解説 vol.2 -ROE・PER・自社株買い
この記事では、ファンダメンタル投資のポイントを紹介します。
「投資する企業を選ぶ時、どんな数値を見ればいいか」ということです。
(ファンダメンタル投資の概要や基本は、前回の記事をご覧ください。↓)
『ファンダメンタル投資の概要・メリット&デメリット』
「市場独占型企業」を選ぶ
企業は大別して2種類になります。「市場独占型」と「コモディティ型」です。
・市場独占型…独自の商品・サービスを持っている
・コモディティ型…「普通の商品」しか売れない
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例えば「独自技術を持つ電動歯ブラシ」で売れている会社は「独占型」で、「ただの歯ブラシ」を売っているのはコモディティ型です。
コモディティ型企業は、当然大企業しか生き残れません。
そして、代わりが効く商品である以上、価格はどんどん下がっていくので、いつまで経っても体力勝負の薄利多売を迫られることになります。
■コモディティ型企業は、経済に翻弄されやすい
さらに怖いのは、コモディティ型企業は「仕入れ値」などのお金の流れだけで全てが決まります。
安さ勝負である以上、仕入れ値を極限まで下げる必要があるからです。
そして、この仕入れ値などの数値は、「経済情勢」によって大きく変動します。日本史でいうなら「オイルショック」がいい例でしょう。
石油というのは原料自体が商品で、そこに付加価値をつける余地がないため、経済情勢がそのままダイレクトに反映されたわけです。
石油ほど極端でないにしても、コモディティ商品というのはすべて、このように経済の流れに翻弄されてしまうので、ファンダメンタル投資には適していないのです。
(逆にいうと、テクニカル投資で短期で利益を得たい場合には、チャンスがあります)
ファンダメンタル投資で見るべき数値
会社四季報などの数値を見て投資をする、という基本は誰でも知っているでしょう。
特にファンダメンタル投資ではこれが必要となりますが、具体的に見るのは下のような数値です。
■ROE(自己資本比率)
「どれだけ借金がないか」です。たとえばあなたの財布に10万円入っていて、そのうち5万円が借金だったとしたら、「ROE=50%」です。
これが会社の財政になっただけなので、別に難しいことはありません。
ROEは最低10%は欲しいところです。(それ以下の数値の企業に投資するのは、玄人向けの方法です)
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■PER(株価収益率)
その会社の株が「どのくらいバブルになっているか」という数値です。数値が大きいほどバブル状態(避けた方がいい)ということです。
株の配当は、当然「利益」から支払われます。その会社が利益を出したら、その一部が株主に配られるわけです。
たとえば、株主があなた一人だったとしましょう。そして、「1万円」をA社に投資していたとします。
そのA社の利益は「毎年1000円」だったとしましょう。
A社は株主にやさしいので、毎年利益の全額=1000円を配当してくれます。しかし、あなたが投資しているのは「1万円」です。
ということは、「全額回収するのに10年かかる」わけです。ここでいう「1万円」は、「その会社の株価の総額=時価総額」です。
なので、「時価総額÷純利益」をすれば、その会社のPERが出ます。
上の「10年かかる」ケースの場合は「PER=10」です。東証一部の平均は「15前後」なので、実は10年かかっても十分いい株なのです。
ファンダメンタル投資では、「PER=22.5」を超えてはいけないと言われています。
これは「回収するのに22.5年かかる」ということですが、逆にいうと、ファンダメンタル投資は「そこまで許していい」投資なのです。
このくらいの長期スパンに立って投資をするので、社会全体の勉強、その会社についての勉強、相当な余裕資金が必要ということがわかるでしょう。
「自社株買い」をしている会社は安心?
「自社株買い」というのは、文字通り「自社の株を自社で買う」というものです。
これはミュージシャンでいうと「自分のCDを自分で買っている」ように見えるので、一見「ダメな会社」に見えます。
しかし、当たり前ですが、A社のことを一番よく知っているのはA社です。
(少なくとも、つぶれそうかどうかは一番よく知っています)
そのA社が株を買ったということは「この株の値段は、おそらく今後下がらない」」ということなのです。
A社だってお店屋さんごっこをしているわけではないですから、格好をつけて自社株買いをして、倒産を加速させるなんてことはできないのです。
そのため、自社株買いをしている会社は「自社の業績回復に自信がある(後々、この株を売却して利益を得る自信がある)」ということなので、信頼できるのです。
ただ、当然ながら「そうした演技をする」会社もあります。
なので、自社株買いをしていれば絶対安心というわけではないですが、一つの参考にはなるでしょう。
*次の記事では、さらに突っ込んだファンダメンタル投資の参考データ・株式の定期購入の方法などを紹介します。↓
『ファンダメンタル投資で重要な数値解説&定期購入』
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