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Google『ダブルアイリッシュ』『ダッチサンドイッチ』の仕組み

投資で成功したいなら、節税についてもある程度詳しくなる必要があります。

特に節税の手法の中でも一番有名な、グーグルの「ダブルアイリッシュ」「ダッチサンドイッチ」の仕組みは知っておくべきでしょう。

言葉の意味は?

まずそれぞれの言葉の意味ですが、

・ダブルアイリッシュ…アイルランドに子会社を2つ持つ
・ダッチサンドイッチ…オランダを経由する

という意味です。何のためにこれをするのか説明します。

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アイルランドを経由する理由

これは、アイルランドの税法に理由があります。

営業実態がアイルランドにない会社…税金なし

というものです。つまり、

住所はアイルランドでも、別の国から操作している会社は税金なし

ということです。

「うち(アイルランド)では取らないので、そっちの国で税金を納めてください」ということですね。

普通の場合、その「そっちの国」がアメリカなど税金のかかる国なので、そこで納税するわけです。

しかし、グーグルはこの「そっちの国」をアメリカにしていないんですね。

彼らは「バミューダ諸島」」に実態を置いています。

■バミューダ諸島とは?

これは有名な「タックスヘイブン」です。タックスヘイブンは知っての通り「税金がかからない国」です。

つまり、アイルランドが「そっちの国で納税してください」と言ったその「そっち」がタックスヘイブンなので、グーグルは「世界のどこでも税金を納めなくていい」ということです。

(実際、彼らはわずか2.6%程度しか納税していません)

なぜアイルランドに「2社」持つのか?

上の方法はまだ完成ではありません。というのは、アイルランドの会社は「実態がない」わけですから、本来の仕事が何もできないのです。

「バミューダでやればいいじゃん」と思われるかも知れませんが、バミューダはタックスヘイブンなので、世界の各国から「目をつけられて」います。

ここに本拠地を置いて、たとえば「グーグル日本支社」とお金のやり取りをしようと思っても、日本政府に禁止されてしまう、ということが多いわけです。

つまり、「本拠地を本当にバミューダにしてしまったら、活動ができない」ということです。

「本拠地=バミューダ」というのは、あくまで形式上でなくてはならないのです。

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■だから、アイルランドにもう1社作ろう
というわけで、アイルランドに「もう1社」作るわけです。

名目だけの1社目に代わって、「本当に業務をする会社」を作ろうというわけですね。

これをやって初めて、グーグルはようやく「本来の会社」として機能し始めるわけです。

そうして、世界各地のグーグル支社を相手にビジネスをします。

ビジネスは順調に行き、各国からグーグルの名前を使っていることへの「ライセンス料」が入ってきます。

ただし、ここで問題が起きます。それは、

「ライセンス料でもうかった分、納税しなくてはいけない」

ということです。(本来当然のことですが、グーグルにとっては問題なのです)

なのでグーグルは「この儲かった分を、誰かに払っちゃえばいいじゃん」と考えます。

そうすれば「利益ゼロ」として申告できるからです。

ただ、ここで問題が起きます。今回はアイルランドの税法がグーグルの敵になります。それは、

「ライセンス料の支払いは、支払いの時点で源泉徴収する」というものです。

「どこかにお金を移す時点」で、今回は問答無用に課税されてしまうわけですね。

しかし、ここでたった一つ抜け道があります。それが、

「相手がオランダだったら、課税しない」

というものです。ここで「ダッチサンドイッチ」が登場するわけです。

ダッチサンドイッチの仕組み

ここで一気にまとめます。

(ここまでの説明では、節税のスタート地点などを省いていますが、それも含めてまとめます。ここだけ読めば、おそらく理解していただけます)

【グーグル節税スキームのまとめ】
①アメリカの「グーグル本社」がある。
     ↓
②アイルランドに「支社(実態なし)」を作る。
 (この会社に、グーグルのライセンスを譲る)
     ↓
③アイルランド支社の実態は「バミューダ」に置く。
 (これで、米国・アイルランド・バミューダのどこでも税金ゼロになる)
     ↓
④しかし、グーグルのライセンスを各国とやり取りしなくてはいけない。
 (でなければ仕事が始まらない)
     ↓
⑤でも、アイルランドの会社は実際の活動をしてはいけない。
 (したらアイルランドで納税が必要)
     ↓
⑥じゃあ、バミューダですればいい?
 (バミューダは各国から目をつけられているので、できない)
     ↓
⑦じゃあ、アイルランドにもう1社作ろう。
     ↓
⑧うまく行って、各国のグーグル支社からお金が入った!
     ↓
⑨でも、この儲け分、アイルランドに納税しないといけない。
     ↓
⑩どこかに移してしまえ。しかし、移す時に課税される…。
     ↓
⑪そうだ、オランダだけは例外だ。オランダに移そう。
 (オランダにも支社を作り、そこに送金)
     ↓
⑫でも、そしたら今度はオランダで納税しないといけない…。
     ↓
⑬これをどこか、「税率ゼロ」の会社に移そう。どこかないか…。
     ↓
⑭そうだ!最初に設立した「アイルランド支社(実態なし)」なら税率ゼロだ。
 (③参照)
     ↓
⑮しかも、オランダ―アイルランド間は課税されない。
     ↓
⑯やった!これで、世界のどこでも課税されないぞ。

というわけです。少々長くなりましたが、世界を煙に巻く節税スキームですから、どれだけわかりやすく説明しても、このくらいの長さにはなってしまいます(笑)。

これを見て「せこい!」と思うか「何て芸術的な!」と思うかは人それぞれですが、確かなことは、グーグルはこれによって数千億(ヘタしたら兆単位)の税金を浮かせたということです。

これをやらない企業が競争に勝てない、というのは当然のことです。

投資をする時は「その会社はどんな節税をしているのか」も考えてみると面白いかもしれませんね。

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コメント

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  1. 2014/9/17 の日本掲載新聞の朝刊記事「国際企業、税逃れ歯止め OECD指針 グループ取引報告義務」に関するコメントをブロクに載せました、そちらで、Googleの節税対策を事例として紹介させて頂きました。

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