アフィリエイト会社がタックスヘイブンを利用して税金ゼロに?
投資について考える時、タックスヘイブン(租税回避地)の話題は避けては通れません。
投資に回されている金額のほとんどは、タックスヘイブンを通過していると言われています。
実際、タックスヘイブンを利用して税金をゼロにすることは可能なのか、具体的な例を見解て考えてみましょう。
(これはギリギリ合法の節税を推奨するものではなく、タックスヘイブンと税金の関係をわかりやすくするための具体例です)
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アフィリエイトで稼ぐ会社がタックスヘイブンにある場合
アフィリエイトはネットに繋がればどこでもできます。そのため、
「タックスヘイブンに住んで、そこで作ったサイトで稼げば、税金はゼロなのでは?」と多くの方は思うかも知れません。
昔の税制ならそれもできたかも知れませんが、今の日本の税制では恐らくアウトです。
理由は「日本の口座を持たないといけない」からです。
■日本で活動していないと、口座を開設できない
日本の銀行は、日本で活動している会社以外には口座を作らせてくれません。(海外在住の日本人の個人口座もダメです)
「別に口座なしでもいいじゃん」と思われるかも知れませんが、日本のASP(アフィリエイトの報酬を払ってくれる広告代理店)は、日本の口座でないと振り込んでくれないのです。
(一部例外もありますが、大手はほとんどそうです)
また「海外の口座でもいい」という会社でも、タックスヘイブンの口座だと「さすがにダメ」ということも多いでしょう。
今はよくても、国の指導によってルールが変わる可能性はとても高いです。
なので「国内に口座を持つ」ということは、絶対なのです。
■国内口座=日本で活動=日本で課税
日本に口座を持つということは、日本で活動をするということで、そうなると日本で税金を納める必要があります。
なので、本社がタックスヘイブンにあろうと(そして本人が実際にタックスヘイブンに住んでいても)、結局は日本で課税されてしまうのです。
タックスヘイブンの会社は「サイト制作会社」にする
ここで浮かぶ次の手は「タックスヘイブンの会社は、サイト制作だけをする」というものです。
つまり、アフィリエイトで稼ぐのは、普通に日本にある会社にするのです。
そして、その日本の会社が「自分でサイトを作る技術がない」ので、「タックスヘイブンの会社にサイト制作を依頼する」という形にするのです。
こうして、日本のアフィリエイト会社の利益を全部「サイト製作費」としてタックスヘイブンの会社に払います。
そうすると、この日本の会社は「所得ゼロ」になるので、税金もゼロになります。
しかし、この方法にも当然落とし穴があります。
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■タックスヘイブンへの送金は監視されている
タックスヘイブンの会社に「制作費」を支払うためには、海外送金をする必要があります。
海外送金はすべて監視されていますが、特にタックスヘイブンは重点的に監視されています。となると、
「この会社、なぜか取引先が全部タックスヘイブンだな」と税務署が気付き、調査が入るわけです。
税務署が本気で調査したら、タックスヘイブンの会社に実態があったとしても「関係者の会社である」ということはすぐわかります。
そして、「取引先が関係者である」というのは、タックスヘイブン税制の「課税対象」に入っているので、この時点で課税されるのです。
(もちろん、それまで所得隠しをしていたということで、追徴課税の可能性も大です)
こう考えるとアフィリエイトという場所を選ばないビジネスでも税金ゼロは難しいようですが、ここで注目したいデータがあります。
それは、「Googleは約2%しか法人税を払っていない」ということです。
アメリカの会社(自分の)を経由すればできる?
Googleの節税については、以前別の記事で書きました。↓
『ダブルアイリッシュ』『ダッチサンドイッチ』の仕組み
リンク先を読んでいただくとわかりますが、本社がアメリカにある場合は、かなりのレベルまで節税が可能です。
(アメリカだけではなく、アイルランド、オランダも絡めます)
■ライセンス収入以外でもできるのか?
注目すべきことは、Googleがこのシステムで成功しているのは、やり取りしているお金が「ライセンス収入」ということです。
Googleが途中でオランダを挟んでいるのは、「オランダ→アイルランドの『ライセンス収入』には課税しない」というルールがあるからです。
となると「他の収入の場合はどうなるのか?」ということが焦点になります。
「サイト製作費」などの名目でも、課税されないのかということですね。
ここまで来ると「オランダ税法」の話になってしまい、大学の教授や国際税法の専門家でないとわからないので、この記事ではそこまで追求しません。
(そもそも、こんな厄介な節税をやる気も推奨する気もありません)
なので、「アフィリエイト会社の税金ゼロシステム」については、研究をここで一度止めます。
しかし、ここまではおそらく誰が研究しても一度は辿るはずの流れです。
本気でこのシステムを研究したい方は「次の課題はオランダ税法である」などのヒントとしていただけたらと思います。
■まとめ
再確認しておきますが、この記事は脱税や違法スレスレの節税を推奨するものではありません。
ただ、人間には誰でもいたずら心というものがあり、子供でも「ちょっと悪い話」には興味を持つものです。
経済学部や法学部の学生にとっても退屈ことが多い「税金の話」が少しでも面白くなればと思い、こういう話を書かせていただきました。
教える側の方などが、参考にしていただけたらと思います。
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