海外移住者(日本非居住者)の投資の税金はどうなる?
海外に移住して投資で収入を得ながらセミリタイア、という夢を持っている人は多いでしょう。
ここでは「海外移住者(日本非居住者)」の投資の税金はどうなるのかを書きます。
要点をまとめると、
・非居住者は新規口座を開設できない
・今まで持っていた口座も、解約か条件付き取引になる
・日本国債の場合のみ、利子が非課税になる
・投資の税率は20%(国内での投資も同じ)
というものです。
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非居住者は投資口座を開設できない
基本的に、非居住者が新しく投資用の口座を開設することは難しいです。
マネー・ロンダリングなどに利用されるのを恐れて、銀行や証券会社もルールを厳しくしているからです。
■既存の口座は解約となることも
それまで日本に住んでいて、すでに口座を持っていて、その後海外に移住したという場合でも、「口座の解約」となることがあります。
このあたりのルールは金融機関によって違うので確認が必要です。
・解約ではなく凍結
・利子や配当は受け取れるが、証券の売買はできない
・1年~2年までの非居住ならいい
など、それぞれで違ったルールが定められています。
なので、国内ですでに投資をしていて海外移住するという方は、これらの確認もしてから移住をする必要があります。
■国内の連絡先はほぼ確実に必要
口座の維持が許可された場合でも、国内の連絡先はほぼ確実に必要とされます。
郵便物を受け取れる住所、国内でつながる電話番号などです。
本人が非居住である以上、代理人を用意することになるでしょう。
家族でも親戚でも誰でもいいので、そうした人を用意する必要があります。
国債の利子は、非居住者なら非課税
日本国債の利子は、非居住者なら非課税で受け取れます。条件は、
(1)国債の利子を、日本で預けている
(2)海外で預ける場合、指定の銀行に預けている
のどちらかです。(1)の「日本で預けている」というのは、日本の銀行や証券会社のことです。
正確には「国際振替決済制度に参加している機関」という条件があります。
とはいっても、私たちが知っているような大手銀行、証券会社であればほとんど加入しています。
なので「日本で預けていれば大丈夫」と考えていいでしょう。
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■海外の指定金融機関
これは正確には「適格外国仲介業者」といいます。
たとえばドイツ銀行、シティバンク、JPモルガン・チェースなど約40社があります。
これも日本と付き合いのある先進国なら、大抵一つはそこの国の銀行が入っています。
なので、それらの国に住んでいる日本非居住者の方の場合、その銀行を使えば「利子の受け取りを外国でしても非課税」ということです。
何のための制度か?
これは「国債を買ってくれる人を増やすため」のものです。
日本の国債発行総額は、2013年末で180兆円を超えています。
このくらい日本が国債に頼る比率は大きいのですが、今後もこの収入源が確保できないと困るので、できるだけ多くの投資家に買ってもらえるようにしているわけです。
もちろん、日本人投資家だけではなく、外国人投資家も意識しています。
海外の指定金融機関も非課税の範囲に入れているのは、日本の銀行だけでは外国人投資家にとってハードルが高いからです。
■01年からスタートした制度
この制度は01年から施行されているものです。
それから13年経っていますが、国債利子非課税の手続きはどんどん簡単になっています。
今後も日本の財政が国債に頼る構造は当分続きそうなので、今後の手続きはさらに簡単になっていく可能性もあります。
投資の税率はいくらか?
投資の税率は「20%」です。2013年までは10%でしたが、今年から2倍になりました。
投資の利益にはキャピタル・ゲイン(売買益)と配当金がありますが、どちらも同じ税率です。
■非課税の条件は?
もし投資の利益が年間20万円以下だった場合は非課税となります。
これは「年収が2000万以下の人の場合」という条件ですが、ほとんどの人はこれに当てはまるはずなので、「20万以下は非課税」と考えていいでしょう。
■損失が出た場合も申告しよう
逆に損失が出た場合はどうするかですが、これも確定申告しておいた方が得です。
というのは、翌年利益が出ても、今年分のマイナスと相殺すれば、翌年の利益を減らして、税金も減らすことができるからです。
このマイナスの繰越は「最大3年」までできます。
なので、たとえば3年マイナスが続いて4年目に利益が出たとしたら、その3年分のマイナスをすべて合算して、4年目の利益を相殺することができるのです。
(もっとも、3年も赤字が続くというのはあまりいいことではないですが…)
海外移住者、非居住者の投資の税金については、以上のようになっています。
海外での投資家生活を夢見ている方は、参考にしていただけたらと思います。
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