iPS細胞は他業界の株価をどれだけ変動させるか? – 歯科・介護の場合
投資の本質は「社会にとって価値のある企業・業界に投資をする」ということです。
そのためには「これから社会に必要なものは何か」を見抜く必要があります。
それが何かは、多すぎて一言では言えないのですが、その一つに「iPS細胞」があります。
iPS細胞の実用化についてはまだ議論の余地があるでしょうし、この技術の発展が絶対正義とは言いません。
ただ、巨大なニーズがあることは確かで、それと同時に、将来あらゆる業界に影響を与えるというのも確かです。
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iPS細胞はあらゆる業界を変える
iPS細胞の実用化は、皆さんが思っている以上に社会を激変させます。意外な業界の一つは「歯科医」です。
未来にはもう歯医者さんが絶滅状態になる可能性があります。理由は「iPS細胞で歯を再生させればいい」からです。
もちろん、「歯を再生させる仕事」は必要です。そういう意味では、形を変えて歯科医師は残っていくのですが、もう「虫歯の治療」の技術は不要になります。
そうなると、歯医者の設備も一変しますし、歯科大の設備も一変します。
ということは「iPS細胞の治療に対応した、歯科関連機器」を製造するメーカーが強くなるということです。
「iPS細胞関連株に投資する」というと、バイオ系の研究機関などに投資するというイメージがあるかも知れませんが、このように「それによって変わる設備の関連会社」にも、注目すべきなのです。
さらに言うなら、その会社に特殊な部品を提供する会社なども要チェックです。このように「どんどん連想を広げる」ということが大事です。
老人ホームが消滅する?
個人的に一番震え上がっているのが「老人ホーム関連」の業界ではないかと思われます。
というのは、iPS細胞による不老長寿が、庶民でも実現できるようになったら、老人ホームが不要になるからです。
これについては「誰だって、いつかは歳をとりたいはず」という反論もあるでしょう。
もちろん、その通りです。しかし「老人ホームに入りたい」という人は絶対いません。「家で歳をとって死にたい」と思うはずです。
老人ホームは本来「誰も入りたくないもの」なのですから、極論(本当に極論ですが)をすると、「誰もが、なくなることを望んでいる」サービスでもあるのです。
(あまりにも普及しているからすぐには納得できないかも知れませんが、論理的に考えていくとそういうことになります)
iPS細胞による不老長寿が、未来の世界でどこまで浸透するのかは未知数です。しかし、理論的にはもうこれができるはずなのです。
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高齢化による「利益回収」が間に合うか?
iPS細胞が一般に知られるまでは、介護関連というのは「もっとも成長が見込める分野」の一つだったでしょう。
言うまでもなく、これから超高齢化社会を迎えるからです。
誰もがそれを認知しているので、競争は激しいでしょうが、それでも業界全体が今後衰えることはない、というのが大勢の見方だったはずです。
しかし、これが山中伸弥教授のノーベル賞受賞によって、一変したわけです。
「今から介護関連で事業を始めても、果たして利益回収が間に合うのか?」という疑問を、多くの起業家が持っているはずです。
もちろん、iPS細胞の実用化にはまだまだ時間がかかるので、10年くらいの間に利益を出すことはできるかも知れません。
しかし、将来衰退するとわかっている産業に関するノウハウなど、誰も蓄積したくはありません。
ノウハウや経営の実績というのは、積めば積むほど有利になるものですから、起業家は「これから伸びていく業界」で起業をしたいものなのです。
少なくとも、長期的な視点を持っている、経営の本質に価値を置く起業家であれば、そうです。
「ということは、ライバルが減って逆にチャンスでは?」という考え方ももちろんありです。
起業や投資には100人いれば100どころか500くらいの答えがあり、結果さえ出せば、どんな発想でも許されます。
なので、介護関係の将来をどう見るかについても、あらゆる「正解」があることでしょう。
唯一確かなことは、「iPS細胞は介護関係の投資にも、ある程度の影響を与えている」ということです。
投資家は、とにかく勉強あるのみ
こうしてiPS細胞に関連して起こる変化を軽くシミュレーションしただけでも、「あらゆる業界に波が及ぶ」ということがわかるでしょう。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ではありませんが、投資家に必要なのは、この「Aが起きたらBが起きる」という連想です。
(もっと言うと「Bが起きたらC…」と続いて、「Fくらいの位置」でようやく誰も気付いていない「優良株」を発見できます)
投資家というのは、間違っても「パソコン1台で、寝てても月収100万円」のような職業ではありません。
(最近、アフィリエイトの世界でよく聞く言葉ですが…)
投資家というのは、「極めたら神や仏になれる」といっても過言ではないほど、世界の動き、人類にとって大切なものを、徹底的に見抜けるものなのです。
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