仕手株ってどんな株? -その仕組みと買ってはいけない理由
仕手株というのは「完全にマネーゲーム用の株」です。
企業の実態など無視されて「差額で利益を出すため」だけに投資家たちによって売買されている株です。
仕手株はFXのように「短期間で大きく稼げる」などと言われることがあります。
確かにその可能性もゼロではないですが、基本的にはプロのカモになって終わるだけです。
ここでは仕手株の仕組みを詳しく説明し、なぜ投資してはいけないのかを解説します。
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仕手株とは何か?
上にも書いた通り「完全マネーゲーム用」の株です。
「ほとんどの株はそうじゃん」と思われるかも知れませんが、ほとんどの株は一応「実態」を反映しています。
その企業が何かいい製品を開発したら株価が上がりますし、不祥事を起こしたら下がります。これが本来の株の姿です。
仕手株はまったく違います。これらは100円以下という「落ちるところまで落ちた」株が多いです。
たとえば問題を起こして上場廃止が決まった頃のライブドア株のような銘柄ですね。
落ちるところまで落ちた株は、大量に買い占めるのが簡単です。
「差額を使って利益を出す」ためには、できるだけ大量に買い込んだ方がいいので、こういう「価値がなくなった株」が狙われるのです。
■なぜ「仕手」というのか?
仕手株という名前の由来は「仕手によって取引される株」ということです。仕手というのは「マネーゲーム的投資をする人々」の意味です。
その人たちが「人為的に」価格を操作しているという意味で仕手株と呼ばれるんですね。
なぜ仕手株に投資してはいけないのか?
これは「完全に無価値になる可能性がある」からです。つまり、投資した金額が全部消えてしまう可能性があるんですね。
たとえば上に書いた上場廃止寸前の頃のライブドア株なら、自分が持っている時点で上場廃止となったら完全無価値です。
なので、その分のお金は消えてしまいます。じゃあ、上場廃止の前に売ればいいのかというと、当然その時期に買いたがる人はいません。
なので、かなりの確率で「買い手が見つからない」わけです。こう考えると「仕手株なんて一体誰が買うんだ?」となるでしょう。
誰もがそう思うので、仕手株は100円以下という、これ以上ないレベルまで落ちるのです。
そこまで落ちると、普通のビジネスでいうなら「ゴミを引き取って再利用する」というようなもので、いわば「コストゼロのビジネス」ができるのです。
(「ゴミ」というと表現が少し失礼かも知れませんが、これが一番わかりやすい例えなので)
本来価値のない仕手株であっても、たとえば大型ヘッジファンドなどが怒涛の買い注文を出したら、一時的に価格が上がります。
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それに釣られて普通の投資家たちがその仕手株に手を出し、「ほんの少しでも」株価が上がった瞬間、彼らはそれを一気に売りさばくのです。
仕手株というのは、基本的にそういう罠が仕掛けられています。
仕手株で利益を出すにはそれ以外の方法が物理的にないわけですから当然です。
(もう企業自体に価値がないわけですからね)
なので、素人が仕手株に手を出したらカモになるだけなのです。
いくらハイリスク・ハイリターンで稼げる可能性があると言われても、仕手株だけは絶対に手を出してはいけません。
そもそも、株式投資の本質に反している
ここまでの説明で大体わかっていただけたと思いますが、仕手株は存在自体が株式投資の本質に反しています。
株式投資の本質をあらためて説明すると、
・いい事業をしている会社がある
・その会社に資金があれば、いい事業をもっと広められる
・だからみんなで資金を提供する
ということなのです。小学生向けの綺麗事ではありません。本当にまったくこの通りなのです。
この本質に沿ってしている投資は、長期的には必ず成功します。(社会の研究、その企業、業界の研究さえしっかりできていれば)
逆に、この本質に反している投資は、一時的に稼げることはあってもいつまでも続くとは限りません。
「その時はまた別の裏ワザを見つければいい」と思われるかも知れません。しかし、「いつまでそれを繰り返すのか?」という話です。
「一つの裏技が使えなくなったら、また次の裏技」という自転車操業のようなことを繰り返していても、本当に大きな利益は得られないでしょう。
何より精神衛生上よくないはずです。
ウォーレン・バフェットは重要な決断を下す時「新聞ルール」というものを適用していました。
「自分がその決断をした理由が、明日の新聞の朝刊に乗って、家族に読まれたとしても恥ずかしくないかどうかを考える」というものです。
たとえ利益が出そうでも、そこで「恥ずかしい」と思うような理由だったら、その投資はしなかったのです。
だからこそ、彼は半世紀にわたって最も成功した投資家でいられたのです。
大きく稼げていないうちは、こういう本質的な話はどうでもいい、と思う方も多いと思います。
しかし、バフェットたちはまだ庶民だった頃から、こういう思想を持ち続けていたということは忘れないようにしたいものです。
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