なぜ女性の方がうつ病になりやすいのか?
うつ病は、誰がなってもおかしくない、ごく普通の病気です。
しかも、その特徴は、女性に多いことです。女性の4~10人のうち1人は、一生に一度はうつ病になるといわれるほどで、その比率は、男性の二倍となっています。
男性と違う発症環境の違い
女性の患者さんが多い理由には、月経周期や妊娠などで、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)など、女性ホルモンの変動が激しいためで、その影響によると考えられています。
さらに、女性の様々な人生におけるイベントや、それに付随するストレスが負荷になるという具合に、女性にはうつ病になりやすい状況が数多くあるといえます。
一昔前であれば、うつ病は、産後や更年期など、女性の人生の転機に発症しやすいという傾向がみられました。
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しかし、女性の社会進出が進んだ現代、職場や地域活動など、女性の活躍の場は、広がってきています。
家事や育児、介護などの主婦業と、仕事や地域活動など、いくつもの役割をこなす女性の負担はますます重くなり、日常生活でストレスが溜まることで、うつ病を発症してしまうと考えられています。
参考記事:職場の環境次第でうつになりやすい女性たち
ホルモンの大変動が気分障害を引き起こす要因の一つに
また、女性は男性に比べ、月経周期や妊娠などで、女性ホルモンの変動が激しく、心身ともに、その影響を受けやすいといえます。
エストロゲンは、副交感神経に作用して、感情を安定させ、プロゲステロンは、交感神経に作用して、感情を不安定にします。また、エストロゲンは、神経伝達物質であるところのセロトニンを介し、感情を調整するという働きをします。
この変動は、ストレスに対する抵抗力の低下につながるといわれています。
女性は、月経の時期、女性ホルモンの変動を経験します。それだけではなく、女性の一生には、妊娠・出産、更年期など、女性ホルモンの大変動期があります。このような変動もうつ状態を引き起こす要因の一つであるといわれています。
女性のうつ病は、心理社会的な要因と女性ホルモンの分泌など生物学的要因が複雑に作用し合って起きるといえるでしょう。
思春期は心身ともにバランスを崩しやすい
思春期は、第二次性徴期でもあり、子どもから大人へと、心身ともに大きく変化する時期です。
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身体は女性らしく変化し、女性ホルモンも活発に分泌されるようになりますが、ホルモンを放出する卵巣が未熟であるため、ホルモン分泌の調整がスムーズにいかず、ホルモンのバランスが均衡を失して、倦怠感など、心身の不調をきたすことがあります。
この時期は、非常に多感な年ごろなため、精神的な葛藤が生じることが多く、身体の発育と精神的な発達の均衡がうまくとれず、心身に不安定なサインが生じやすいともいえます。
物事に過敏に反応したり、些細な出来事で、必要以上に不安になったり、気に病んだりします。
思春期には親の配慮が必要
思春期には、入学・卒業をはじめ、部活やクラス替えなど、環境が変化しやすいので、ストレスに直面しやすい状況が多くあるといえます。
この時期のうつ病の原因は、勉強や恋愛、友人関係、家族関係などが主です。
勉強面でいえば、思ったように成績が上がらない、受験期でいえば、プレッシャーや焦りで心が押し潰されそうになるなどのケースがあります。
また、異性関係や、友人関係がうまくいかないなどの悩みも、この時期に多く見られます。
思春期になると、子どもは、家族よりも友達を大切にし、家族に話せないようなことは、友達に相談するようになります。
しかし、家の中の環境に居心地の良くない要素がある場合、例えば、両親との意思疎通がうまくいかない、両親の仲が悪い、祖父母と両親との仲が良くないなどの場合には、友達にも相談できず、一人で心を痛めることもあるのです。
何事にも敏感に反応する時期だからこそ、家庭での親の配慮が必要となります。
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