うつ病に効果的とされる薬物療法と精神療法~その違いと特徴を知る
薬物療法で大切なことは、決められた時間に服用し、決められた量を遵守することです。
処方は、各患者さんの症状や体質に合わせて種類や量を調整することによってなされるため、自己判断で勝手に量を調整したり、服用を中止したりすることは回避せねばなりません。
ときに、薬物療法に対して、否定的な考えをもっている患者さんがいます。うつ病は脳の病気なので、薬を服用した場合、抗うつ薬の成分が脳に作用して症状を緩和します。
そういった患者さんは、薬が脳に作用するということに違和感を覚えるようです。「本来の自分ではなくなってしまうのでは」、「薬で自分が変えられてしまうのでは」などと言った不安がある人もいます。
しかし、抗うつ薬で、人間の本質が変わるということはありません。それでいて症状が緩和され、負担が軽減できれば、気持ちも随分と楽になることでしょう。
薬物治療に不安がある場合には、主治医とじっくり話し合うか、薬剤師に相談するかして、不安をとり除いておきましょう。原則としては、納得のうえ、薬物治療を受けることが基本です。
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自分に合った薬を見つけるのは主治医と患者の共同作業
他方、「薬を飲めばすぐに治るであろう」と考えている人もいます。しかし、うつ病はそれほど単純な病気ではなく、時間をかけてゆっくりと快方へ向かっていくというものです。
抗うつ薬は患者さんの6~7割に効くといわれますが、中には効かない人がいるのも事実です。そういった場合には、薬を変え、その人に適した薬を見つけます。
患者さんは、「こんな副作用があった」、「前はこういう気分だったけれど、飲んだ後は、こういう風に変化した」など、主治医に詳しく話す必要があります。
主治医は患者さんの話を聞いた後で、「この薬で合っています」、「次はこの薬を試してみましょう」などと提案するでしょう。
うつ病の治療は、このようなやりとりのなか、主治医と患者さんとの共同作業で進めていくものなのです。
そのため、患者さんは、薬を服用する際の注意点を守り、主治医に言われたとおりにすることが大事です。
再発の予防に効果的な「認知行動療法」
精神療法には、「精神分析的精神療法」、「森田療法」、「認知行動療法」、「対人関係療法」などさまざまなものがありますが、うつ病の治療に対して、最も効果的であるといわれているのが、「認知行動療法」です。この療法は、特に再発の予防に効果的であるといわれています。
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認知行動療法とは、不適切な行動の修正を目的とした行動治療と、認知のゆがみを修正することを目的とした認知治療とを組み合わせることで、「そのような考え方が浮かんだ根拠は何か」、「別の見方をすることはできないか」などと検討しつつ、認知と行動とを適切な方向へと導いていくという方法です。
前向きな行動に導くことが可能になるかも
うつ病の場合、患者さんは、物事に対する考え方の柔軟性が失われ、物事を悲観的に捉えたり、現実とは異なる否定的な考え方に陥ったりして、不安になりやすい傾向があります。
たとえば、ビジネスウーマンの場合、「仕事を完壁にこなさなくては、上司や部下に嫌われる」と思い込むとか、「自分はダメな人間だ」、「周囲も自分のことを役立たずだと思っているに違いない」などと、否定的な思考に走ったりするなどです。
悲観的、あるいは、否定的な考え方が強くなると、殻に閉じこもって自分を責め立て、それがまた更に悲観的な考え方を生むといった悪循環に陥ってしまいます。
認知行動療法は、このような認知のゆがみを修正することで、マイナス思考を改善し、気分をコントロールできる能力を獲得したり、前向きな行動に導くことが可能です。また、うつ病の改善や再発の防止にも効果があります。
認知行動治療法は、初めの段階から行うことは稀で、抗うつ薬によって、症状がある程度回復した段階で開始するのが一般です。
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